2011 Fiscal Year Annual Research Report
バリアフリー音声コミュニケーションのための次世代ボイスチェンジャー技術の構築
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22680016
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
戸田 智基 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (90403328)
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Keywords | 音声情報処理 / 音声信号処理 / 音声合成 / 声質変換 / 声質制御 / リアルタイム処理 / 自動適応 / バリアフリー |
Research Abstract |
入力音声の特徴を自動的に学習しながら、リアルタイムで声質を自在に変換・制御できる次世代ボイスチェンジャー技術とその応用技術の構築を目指し、要素技術である高品質なリアルタイム声質変換法の評価及び改善(実施計画1)、自動オンライン適応法(多対一変換)の改善(実施計画2)、ユーザーカスタマイズ機能を備えた声質制御法(一対多変換)の構築(実施計画3)に取り組んだ。 前年度に構築したリアルタイム声質変換法に基づき、リアルタイム変換処理ソフトウェアを実装した。その結果、約50~80ms程度の遅延時間で動作する変換処理を実現した。また、次年度以降に計画しているボイスチェンジャーの応用技術の構築やデモソフトウェアの作成についても着手し、発声障害者補助のための無喉頭音声強調、周囲に迷惑をかけないサイレント音声強調、歌声変換のためのボイスチェンジャーを構築し、リアルタイム処理が実現可能であることを確認した。 自動オンライン適応処理(多対一変換)として、従来の固有声変換技術に対して、ベイズ的アプローチに基づく適応パラメータおよびモデルパラメータのモデリング法を導入した。これに伴い、前年度までに構築した自動オンライン適応処理を、より数理的に見通しの優れた枠組みにより再定式化した。変換性能に関しても、変換時に得られる入力音声のデータが極少量の場合に、事前分布の情報を活用することで、高い適応性能が得られることを明らかにした。 声質制御処理(一対多変換)に対しても、ベイズ的アプローチに基づくモデリング法を導入し、声質制御パラメータおよびモデルパラメータに対する事前分布の使用を可能とした。既存手法と比較した結果、目標とする参照音声のデータ量が少量の場合においても高い声質制御性能を得ることができ、参照音声のデータ量が増加するに伴い、さらなる性能改善が得られることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定より進んでいる計画や、若干遅れ気味の計画があるが、全体的にみるとほぼ予定通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、要素技術の開発を進めるとともに、要素技術の統合に取り組む。今後の技術発展の見通しを良くするために、数理的に統一的な枠組みで統合することを試みる。また、各応用技術のデモソフトウェアの作成のみでなく、実際のユーザによる評価にも取り組んでいく予定である。
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