2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核構造に着目した神経活動依存性遺伝子発現におけるクロマチン制御機構の解明
Project/Area Number |
22680027
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
滝沢 琢己 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30531115)
|
Keywords | クロマチン / 神経活動依存性転写 / ニューロン / 核構造 |
Research Abstract |
ニューロンにおける神経活動依存性遺伝子の核内配置とクロマチンダイナミクスに関連した解析を引き続き行なった。遺伝子座の核内配置に関しては、神経活動依存性に転写される遺伝子のうち、比較的遅れて発現が誘導される遺伝子群の代表であるBdnfとPcsklに着目した。これらは、申請者がこれまで成熟したニューロンで神経活動依存性に転写される際高頻度に核膜近傍に局在していることを明らかにしている遺伝子である。これらの遺伝子座のニューロン成熟過程での核内配置を見ると未成熟なニューロンでは成熟ニューロンよりもさらに核膜近傍に局在する頻度が高いことがわかった。今後、これらの遺伝子群のクロマチン修飾の変化も検討していきたいと考えている。一方、クロマチンダイナミクスに関しては、DNA複製依存性コアヒストンH3をコードする遺伝子Histlh3fの発現が最終分裂終了後の成熟ニューロンにて増加すること見出した。細胞分裂をしないニューロンにおいても、神経活動依存性にコアヒストンの発現が増加し、ヌクレオソームそのものもダイナミックに変換されている可能性を考えて、実際にコアヒストンH3のタンパク質レベルでの発現増加を、タンパク質代謝標識を利用し検討した。すなわち、メチオニンの類似物質であるホモアラニンにアジド基を添加させたもので神経活動誘導後に新規合成されるタンパク質を標識した後に、アルキル化ビオチンを加えてビオチン標識を施行し、クロマチンを精製後にアビジンビーズにてビオチン化されたクロマチンを回収した。その結果、神経活動を誘導したニューロンで特異的に新規合成ヒストンH3が認められ、少なくとも神経活動に依存してH3のタンパク質レベルでの発現が増加していること、並びにこれらがヌクレオソームとしてクロマチンに取り込まれていることが確認できた。今後は、このヒストンが取り込まれたゲノム領域をハイスループットシークエンスにて検討していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画と全く同じ分子に着目しているわけではないが、ニューロンでの神経活動依存性遺伝子の核内配置とクロマチンダイナミクスというテーマは変わらず、新しい知見が得られていると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、コアヒストンのダイナミクスに関しては、コアヒストンが変換されるゲノム領域を網羅的に解析するとともに、その領域と神経活動依存性遺伝子との関連を検討したい。これと並行して、ポリコーム群の複合体PRC1クロマチンへの結合が神経活動に依存したダイナミックなものであるかどうかを明らかにしたい。また、その領域がコアヒストン交換される領域と関連しているかどうかも検討したい。申請者がこれまで明らかにしている神経活動依存性遺伝子の核内配置の知見とあわせて、クロマチンダイナミクスと遺伝子座核内配置の関連を統合的に記述したい。
|
Research Products
(4 results)