2010 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞の機械的刺激応答機構および胚発育に及ぼす効果に関する研究
Project/Area Number |
22680036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 宏治 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 助教 (70443223)
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Keywords | 精子 / 受精卵 / 流体刺激 / シェアーストレス / 細胞内カルシウム濃度 / マイクロ流路 / 空気圧アクチュエータ |
Research Abstract |
A:卵管内精子移動に際し流体刺激が重要であることを機械受容チャネルなどの分子機構および精子運動性変化で示すことを目標とする。本年度は、マイクロ流路およびミリスケールの流路を用いて卵管内で精子が遡上する因子を検討した。その結果、マイクロ流路内ではシェアーストレス(SS)が大きくなるために、上下方向の精子運動が抑制され、頭部が上流を向く力が働いていると考えられる。今後は、マイクロ流体内の運動精子近傍の流体移動を観測する計画である。当初は流体刺激に応答することが遡上機構の一つと考えていたが、流体刺激応答機構が精子の卵管内遡上とは直接関係ないと思われる。精子が流体刺激に応答するか否か検討した。マイクロ流路内に固定した精子近傍に1mm/sの流体が流れた際には(SSは約10dyne/cm2)蛍光強度が約3倍となり数百ミリ秒内の細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)上昇が観察されたことから、精子も過剰なSSに応答する機構を有することを初めて示した。今後、その生理的意義を評価したく考えている。 B:受精卵培養においては、適度なSS負荷群ではアポトーシスの割合が低下していると推測され、その胚発育機構を解明することを最終目標とする。本年度はSS負荷培養可能な空気圧アクチュエータとマイクロ流路を含む培養システムを構築した。空気圧で厚さ0.1mmのPDMS膜を駆動させた際の培養において、非駆動時と比較して培養成績が上昇した。このシステムでは機械刺激に対する細胞内応答を評価することが可能であり、PDMS膜を駆動させた際に[Ca2+]iの上昇が観察された。現時点では負荷された機械刺激とその[Ca2+]iの上昇量との相関について精査が必要であるが、受精卵に機械的刺激を負荷することによって[Ca2+]i上昇が起こり、その結果、受精卵内の遺伝子発現パターンが変化する、あるいは、ストレスシグナルカスケードが働く可能性があると推測する。
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Research Products
(7 results)