2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22680037
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須藤 亮 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (20407141)
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Keywords | マイクロ流体デバイス / 肝臓 / 血管 |
Research Abstract |
本研究では、現在ティッシュエンジニアリングの分野で問題となっている「毛細血管を含む三次元複合組織の再生」を実現するために生体外で再生した複数の組織を融合させる新しい研究手法を提案している。具体的には、マイクロ流体デバイスによって細胞外環境の間質流および細胞配置を時間的・空間的に制御した環境下で、多細胞のダイナミクス(細胞接着・遊走・走化性・形態形成)を最適化し、三次元複合肝組織に毛細血管を導入する(血管化)ことを目的とする。さらに、従来の生物-医学分野による要素還元論的な手法とは異なり、工学を基盤とした複合臓器再生のための新しい構成論的手法として展開するための研究基盤を確立することを目的とする。 本年度は、マイクロ流体デバイスを用いて間質流を制御し、3種類の異なる細胞群を時間的・空間的に制御してマイクロ流路に導入することで、細胞群が組織化する最適な条件を検討した。具体的には、以下のステップで研究を進めた。 1.マイクロ流体デバイスをソフトリソグラフィー法によって製作した。 2.ラットの肝臓から3種類の細胞群(肝細胞・毛細血管内皮細胞・および血管周囲細胞である星細胞)を分離し、各細胞群の組織形成が最適化される組み合わせを実験的に検討した。 3.分離した各細胞群をマイクロ流体デバイスに導入する順序・タイミングを変更することで、各細胞群において組織化が誘導される最適な条件を検討した。 4.タイムラプス顕微鏡システムで細胞動態を長時間観察し、多細胞のダイナミクス(遊走・走化作用・形態形成・細胞接着)を記録・解析を行ない、肝細胞組織と血管様ネットワークの相互作用を定量的に解析した。 5、マイクロ流体デバイスにおいて形成された三次元組織を各種マーカーで蛍光標識し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて三次元構造を解析した。
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