2010 Fiscal Year Annual Research Report
高分子電解質水和水のダイナミクス精密解析に基づくバイオマテリアルの創製
Project/Area Number |
22680039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森本 展行 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00313263)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 生体材料 / 水和 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究では、電解質高分子水溶液中の高分子鎖近傍における水の動的平衡状態を詳細に調べ、バイオマテリアル設計に展開することを目的としている。強電解質高分子であるポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)(PAMPS)水溶液をPFG-NMR法を用いて並進運動性を評価したところ、バルクの水よりも早い拡散係数を有する水の存在を確認した。この早い拡散係数を示す水は、荷電ポリマー鎖間の濃度に依存した水和層形成に相関することを粘度測定により確認した。また、PAMPS溶液を誘電分光測定およびその成分抽出解析法を用いることでポリマー鎖近傍の回転運動性を評価した。この結果、バルクの水よりも早い回転運動性を有する水の存在を見いだした。同様にこれらの挙動は、アクチンフィラメント形成に伴う水の拡散係数の上昇と回転運動性の増加についても検出することができた。並進運動性と回転運動性の相関性について、今年度取り組むにいたらなかった分子量の効果など、今後より詳細な議論を展開しえるであろう。一方でアニオン性高分子電解質の形成する水和水の回転運動性を、高分子電解質側鎖の官能基に着目して解析を行った。スルホ基、ホスホン酸基、カルボキシル基のいずれの場合においても、バルク水よりも早い水の存在を確認した。この水の周波数、分散強度から回転運動性の高い水の形成能を評価したところ、スルホ基が最も高いことを明らかとした。さらにオリゴ核酸を用いてその水和層形成を評価したところ、回転運動性の高い水の形成は二重鎖構造のコンホメーションに依存することも明らかとした。
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