2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22680051
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
七里 元督 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (20434780)
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Keywords | 精神疲労 / バイオマーカー / 酸化ストレス / 脂質 / 抗疲労 |
Research Abstract |
本研究計画の2年目である23年度には、初年度で見出した精神的ストレス負荷時に脂質酸化生成物が生成されるメカニズムについての解析を行った。特にラジカルに依存しない酵素的酸化によって生成される脂質酸化生成物の変動を認めていたため、脂質酸化酵素の各臓器での発現に着目して行った。白血球、脳、肝臓、胃、肺、脾臓など各臓器の蛋白レベルでの発現は変化が見られなかった。この脂質酸化酵素は白血球で強く発現が認められるため、白血球細胞内での局在の変化を細胞染色法にて解析したところ、白血球全体では蛋白量は変化しなかったが、細胞膜分画で脂質酸化酵素の増加が認められ、脂質酸化酵素の局在の変化が本モデルで生じていることを見出した。さらに、細胞内局在変化に関する運搬蛋白と脂質酸化酵素が結合することを同定した。一方、マウスに抗酸化物質であるビタミンE類(トコフェロール、トコトリエノール)を投与した上で精神的ストレスを負荷した場合、トコトリエノール投与群で、脂質酸化生成物の減少および胃粘膜障害の抑制を認めた。トコトリエノールは脂質酸化酵素と結合し阻害するという報告もあり、精神的ストレス負荷時の脂質酸化生成物の産生に脂質酸化酵素が関与することが考えられた。 また、ヒトに終夜のデスクワーク作業負荷を行った際の血液中脂質酸化生成物および抗酸化物質の測定を行った。終夜のデスクワーク負荷に伴って、抗酸化物質トコフェロール、コエンザイムQの減少とトコフェロール酸化物の増加及びコレステロール由来脂質酸化物の増加を認めた。このヒト疲労負荷実験の結果を学会にて発表し、現在論文作成を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
動物実験においては当初予定していた実験を行い、脂質酸化酵素の関与を確認することができ、さらに脂質酸化酵素の細胞内の局在変化を見出した。また、ヒトに対する疲労負荷実験でも、脂質酸化生成物の増加を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
脂質酸化酵素の欠損したマウスを用いて精神的ストレス負荷を行うこと、脂質酸化酵素の局在変化を阻害する試薬を投与した上で精神的ストレスを負荷する実験を行う予定。さらに、細胞実験にて脂質酸化酵素の局在変化に関する因子についてさらに解析を行う予定。
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