2011 Fiscal Year Annual Research Report
アイカメラによるICT活用指導法の解明に基づく、大学演習カリキュラムの開発と実践
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22680056
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松下 幸司 香川大学, 教育学部, 准教授 (40432778)
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Keywords | 情報メディア / ICT機器 / アイカメラ / 教育実践研究 / 授業開発 / 教材開発 |
Research Abstract |
(1)ICT機器を活用した授業構成法について メディアを活用する授業の構成法としては、大きくは「導入」「展開」「まとめ」の3ブロックに分けられ、またガニエの『9教授事象』などにも見られるように、それぞれの学習シーンの学習目的/教育目的を明確にした上で、どの学習シーンでどのメディアを選択するのかを決め、支援計画を立てるというのが、これまでの主な構成法といえる。しかしながら現職教員へのアイカメラ調査+インタビュー調査をすすめると、計画段階で体上記のような授業構成の思考を行っているものの、授業実施段階においては、児童生徒の学習状況に応じて、情報提示の仕方・ICT機器の使用の有無・新たな情報提示を行う場面が観察され、また[計画]+[状況対応]という思考で授業が構成されていることが、教師自身からも報告された。 (2)アイカメラを用いた調査分析 平成22年度の調査より、授業実践中に教師が指導・指示などを行っていない隙間時間に電子黒板を操作する行為が見られたが、平成23年度調査においては特に「教師が指示を行い、児童生徒が何らかの思考や活動を行っている間に、ICT機器化視線を向け準備操作などをする」という行為が何事例か認められた。また、工CTから離れたところからICTに視線を向け、児童生徒の学習を支援する場面も確認された。「授業の流れ」と「教室空間全体における教師の動き」を含めて、教師の教授行為と視線の推移を分析する必要があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来アイカメラを用いた研究においては、被験者が常時座っている状態、あるいは殆ど体勢を変えない状態で視線推移を計測するが、本研究においては教師がアイカメラを装着し、日常の授業と同様に教室等学習空間において大きく動きながら指導する状況下において計測・データ収集を行っている。データ収集を何度か重ねる中で、アイカメラの設定精度に個人差が生じ、設定時間(休み時間など)内に十分な設定精度を高めることができず、データ精度が下がってしまったと思われることがあった。研究データとして採用しうる精度を担保するため、また複数の教師の視線推移を比較検討することによって、個人差を解釈する必要があると考えられることから、アイカメラによる教師の視線推移計測に、計画よりも時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
項目9に記した研究知見を基に、本年度は前期を中心に、ICTを活用した授業実践を、アイカメラを用いながら記録・分析するとともに、教師に対するインタビュー調査を継続し、項目9の(1)(2)が複数の教師・複数の実践記録に対しても認められる「ICT機器を活用した授業構成法・指導法」と言えるかどうかについて、明らかにしていきたい。これらを基に大学における演習カリキュラム(試案)を作成し、後期(10月~)の大学授業において、演習カリキュラムを試行実施し、受講学生より評価を得たいと考えている。
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