2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22680059
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀 和明 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70373074)
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Keywords | 河跡湖 / 氾濫原 / 沖積層 / 石狩川 / 完新世 / 泥炭 |
Research Abstract |
本研究では,河跡湖の堆積物および地形の解析にもとづき,10~1000年スケールでの河川中・下流域の環境変化を明らかにする.調査は,蛇行流路が日本でもっともよく発達し,多くの河跡湖がみられる石狩平野で進めている. 今年度は河跡湖2ヶ所において,オールコアボーリングを実施し,掘削長10mに達する湖底堆積物を採取した.採取した堆積物は半裁後,記載をし,かさ密度や色調,帯磁率の測定および軟X線写真を撮影した.また,放射性炭素年代測定用試料を採取した. 昨年度氾濫原で採取したコア堆積物(IK1,IK2)についての解析結果を学会で発表した.概要は以下の通りである.1.最下部の1-2mは亜円礫を主体とする砂礫層で,礫径は最大で40-50mm程度となっている.2.最下部を除き,泥を主体とする細粒堆積物が卓越する.3.IK1では深度2.1-9.8m,IK2では深度4.3-11.8mに,木片や植物片などの有機物を多く含み,乾燥かさ密度が1,0g/cm3以下になる泥質な層準が認められる.とくにfK1の深度2-1-6.3mでは泥炭の堆積が顕著になる. 年代値は,最下部の砂礫層がIK1で10ka以前,IK2で22ka以前に堆積したことを示唆する-IK1では,8-7kaにかけての堆積速度が,7ka以降に比べて大きい.IK2については7ka以前の堆積速度について不明な点があるものの,7ka以降についてはほぼIK1と同じような堆積速度を示す.この7ka頃は,前述した,有機物を多く含む泥質堆積物が堆積し始める頃にほぼ相当する.また,IK1において泥炭の堆積が顕著であった期間は5-1ka頃で,堆積速度は約1m/1000年と考えられる.こうした堆積環境や堆積速度変化は,氷河性海水準上昇の速度変化およびこれに伴う河川の応答(流路の安定・不安定)と関連する可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コア堆積物の採取については順調に進んでいるが,年代測定をはじめとする湖底堆積物の解析がやや遅れ気味であるため(3)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も今年度と同様に2ヶ所の河跡湖でコア堆積物の採取をおこなう予定である.採取したコアについては,半裁後,色調やかさ密度,粒度分布,元素含有量を数cm間隔で細かく測定し,堆積物の特徴や深度方向の変化を明らかにする.さらに,これまでに氾濫原や河跡湖で採取した堆積物の特徴との比較や河跡湖間での堆積物の対比もおこない,共通点や相違点についても明らかにする.以上の解析によって得られたデータから,洪水イベントの抽出や人為的影響について検討する.
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Research Products
(1 results)