2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22680059
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀 和明 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70373074)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 河跡湖 / 氾濫原 / 沖積層 / 石狩川 / 完新世 / 泥炭 |
Research Abstract |
本研究では,河跡湖の堆積物および地形の解析にもとづき,10~1000年スケールでの河川中・下流域の環境変化を明らかにする.調査は,蛇行流路が日本でもっともよく発達し,多くの河跡湖がみられる石狩平野で進めている. 今年度は2ヶ所の河跡湖(ピラ沼,トイ沼)においてオールコアボーリングを実施し,湖底堆積物を採取した.掘削長はともに約5mで,最下部は砂礫層に達している.採取した堆積物は半裁後,記載をおこない,かさ密度や色調,帯磁率の測定および軟X線写真を撮影した.また,放射性炭素年代測定試料を採取した.堆積物から得られた放射性炭素年代値は非常に若い年代を示しており,このことは河跡湖が最近形成されたことを示唆している.さらに周辺の氾濫原で表層堆積物を採取した. また,初年度に氾濫原で採取したコア堆積物を,周囲の既存ボーリング柱状図および下流域で採取された既存コア堆積物と対比した.その結果,氾濫原における広域的かつ連続した泥炭の形成開始時期が後氷期の海水準変動に関連している可能性,さらに,氾濫原での堆積速度変化と下流域の(海進から海退への)堆積システム変化が連動している可能性を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた氾濫原および河跡湖におけるコア堆積物の採取は終了し,放射性炭素年代測定も順調に実施できた.しかし,湖底堆積物の詳細な解析がやや遅れ気味であること,また,研究成果を論文として投稿することが遅れているため,(3)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
4ヵ所の河跡湖(菱沼,月沼,ピラ沼,トイ沼)で採取したコア堆積物の解析を引き続き進め,河跡湖の埋積過程や埋積速度を検討していく.とくに,菱沼,ピラ沼,トイ沼の堆積物についてセシウム137,鉛210の測定をおこなう.また,放射性炭素年代測定結果は,これらの河跡湖が非常に新しい時代に形成されたことを示唆しているため,この結果が適切かどうかを,氾濫原の地形や堆積物の特徴と照らし合わせながら検証したい. 初年度に採取した氾濫原堆積物について論文投稿をおこなう.また,これまでに得られた結果に関する研究発表(氾濫原にみられる泥炭の発達過程や河跡湖の埋積速度など)を国際学会・国内学会で予定している.
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Research Products
(2 results)