2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌におけるマイクロRNAの特性を利用した癌特異的ウイルス療法開発の新戦略
Project/Area Number |
22680065
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中村 貴史 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70432911)
|
Keywords | 癌 / ウイルス療法 / バイオテクノロジー / 遺伝子治療 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
腫瘍溶解性ウイルス療法(Oncolytic Virotherapy)は、ウイルスが本来持っている癌細胞に感染後、癌組織内で増殖しながら死滅させるという性質を利用する方法である。本研究では、4半世紀前に製造承認を得た純国産ワクシニアウイルスLC16m8ワクチン株の独自性と安全性に注目し、遺伝子組換え技術によりさらなる改良を加え、他に類のない新規癌標的治療法として活用する。癌におけるマイクロRNA(miRNA)の特性を利用して、ヒト及びマウス正常組織と比べ肺癌、及び膵臓癌などで発現が低下しているmiRNAのlet7aに注目し、その標的配列をウイルス拡散や病原性に関わるB5R遺伝子の3’UTRに挿入することによってmiRNA制御型ワクシニアウイルス(MRVV)を作出した。このMRVVは、癌細胞ではB5Rを発現する(=ウイルスは増殖する)が、正常細胞ではB5Rを発現しない(=ウイルスは増殖しない)ため、マウス担癌モデルにおいて強力な抗癌効果と高い安全性を実証した。さらに、このmiRNA制御に加え、ウイルスTK遺伝子を欠失させた多因子制御ワクシニアウイルス(MDVV)では、ウイルスの腫瘍特異性がさらに向上することを実証した。これは、ウイルスTK遺伝子が機能を失うと、正常細胞におけるウイルスの増殖能は低下するが、癌細胞にはこの遺伝子の機能を補う酵素が豊富に存在するためウイルスの増殖能は低下せず、結果的に腫瘍特異性が向上したためである。一方、癌免疫療法の併用により抗癌効果を増強させるため、インターフェロンα(IFN-α)、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、又はインターロイキン12(IL-12)遺伝子を感染細胞内で発現・放出する武装化MDVV/IFN-α、MDVV/GM-CSF、及びMDVV/IL-12の作成にも成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|