2012 Fiscal Year Annual Research Report
炭素安定同位体比観測による可搬型生態系炭素動態評価システムの開発
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22681002
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
高梨 聡 独立行政法人森林総合研究所, 気象環境研究領域, 主任研究員 (90423011)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 炭素貯留 / 同位体 / 光合成 / 呼吸 / レーザー分光 / 二酸化炭素 / 炭素循環 / 樹木 |
Research Abstract |
さまざまな生態系において観測をおこなうために、二酸化炭素安定同位体測定装置および電磁弁制御部をコンパクトなケースにおさめ、内部には温度制御装置を組み込んだ。呼吸量測定用の幹チャンバーおよび土壌チャンバーをあわせても数人で一日程度でシステムを組み上げられるよう、可搬型観測システムを完成させた。また、携帯電話回線を使用することにより、データを遠隔地からでもモニタリングできるシステムを構築した。これにより、屋外環境にて二酸化炭素安定同位体比の長期連続観測が可能となった。また、アカマツ樹体内の炭素動態を明らかにするために、13CO2を用いた2012年9月に山梨県富士吉田試験地にて炭素安定同位体を用いたラベリング実験を行った。樹高20mのアカマツ成木の樹冠部を覆うようにラベリングチャンバーをかぶせてラベリングを行い、幹部には閉鎖循環式呼吸量測定チャンバーを設置して、放出される二酸化炭素の炭素安定同位体比をモニタリングした。本研究で導入されたレーザー分光二酸化炭素安定同位体測定装置を二酸化炭素のモニタリングに用いることによって、ラベリングされた炭素が光合成によって取り込まれ、再び呼吸として大気に戻っていく様子を連続的に捉えることが可能となった。これらの観測により、大気と生態系との炭素交換量だけではなく、同時に、生態系内部の炭素動態を把握することにでき、より正確な陸上生態系炭素交換量を算定することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度目標としていた他の生態系での観測は行えなかったが、これは他の研究との絡みもあり、ラベリング実験を先行させたためであり、研究全体を考えれば当該年度分は概ね達成できたと自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きレーザー分光二酸化炭素安定同位体測定装置を用いて、チャンバー測定を行い、土壌および樹体から放出される12/13CO2フラックスを測定し、炭素安定同位体動態モデルの構築を進める。また、群落内外の12/13CO2 濃度鉛直分布を連続観測し、その形成過程について比較解析を行う。
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Research Products
(3 results)