2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯常緑林における森林群落規模での蒸発散量-メタン放出量の関係の定量的解明
Project/Area Number |
22681003
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
清水 貴範 独立行政法人森林総合研究所, 水土保全研究領域, 主任研究員 (40353726)
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Keywords | 熱帯季節林 / メタン放出 / 水蒸気輸送 |
Research Abstract |
本研究は、野外での直接観測を通じて森林生態系-大気間のメタン吸収・放出過程を森林生態系からの蒸発散との関連性から定量的に解明することを目的としている。対象とする森林は、明瞭な雨季・乾季がある東南アジア熱帯モンスーン地域の天然生常緑林、及び我が国のスギ・ヒノキ人工林である。熱帯の常緑林においては蒸発散フラックス測定を再開するために機器の再整備を行い、雨季前半にあたる2010年7月より連続観測を行うことに成功した。その結果、2010年の雨季における水蒸気交換による潜熱フラックスは月平均で60~80W/m^2となり、2008年と同程度の範囲で推移していることが判明した。また、スギ・ヒノキ林ではメタン・水蒸気フラックス観測を行う基礎として、風速および温度変動の連続観測を開始した。観測に使用した超音波風速温度計は、風向や吹き上げ角に依る風速の補正量が大きい。これを既存の実験式に基づいて補正した結果、当該試験地での温度変動に基づく顕熱フラックス算出量は平均で約12%大きくなることが分かった。開光路型および閉光路型のメタン測定機器では、納品後の機器調整によって2010年11月に室内での稼働・データ記録が可能となったため、データ取得テストを行った。その結果、開光路型の機器は使用予定の汎用データロガーを用いてデータ収集を行う場合、5Hz程度のデータ取得間隔で安定してデータが得られることが明らかになった。また、閉光路型のアナログ出力は、機器本来のデジタル出力と比較して大きな問題が無いことが判明した。
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