2011 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯常緑林における森林群落規模での蒸発散量-メタン放出量の関係の定量的解明
Project/Area Number |
22681003
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
清水 貴範 独立行政法人森林総合研究所, 水土保全研究領域, 主任研究員 (40353726)
|
Keywords | 熱帯季節林 / メタン放出 / 水蒸気輸送 |
Research Abstract |
クローズドパス型(閉光路型)およびオープンパス型(開光路型)のメタン濃度計について連続データ取得のために室内実験で調整を行った後、商用電源が使用可能な国内のスギ・ヒノキ林で比較観測に適用した。検証サイトは森林総合研究所の筑波共同森林水文試験地とし、観測タワーの最上部に、クローズドパス型のサンプル大気吸引口およびオープンパス型の機器を、超音波風速温度計とともに設置した。その結果、両機器での30分程度の平均値濃度には切片誤差はあるものの、その変動傾向はほぼ一致した。また、クローズドパス機器では0.01Hz~0.1Hz程度の範囲で鉛直方向の乱流フラックスに顕著なエラー値が生じるため、製造者と協議して機器自体の問題点を改善する必要があることが判明した。一方、オープンパス機器では、LAN回線を通じてデータを取得する場合には専用の記録計を用いる方が良いこと、および、5Hz程度の応答速度まで安定してデータ取得が可能であることが示された。そこで、本年度の下半期に、オープンパス型の機器を熱帯モンスーン気候下にあるカンボジア国の低地常緑林に設置した。このサイトは2003年に設置され、樹冠高を大きく超える観測タワーを有する。観測タワーの最上部付近において、先ず超音波風速温度計を交換し、次いで比較検証用のオープンパス型水蒸気濃度計を設置し、太陽電池パネルとディープサイクルバッテリーの増設も合わせて行った。オープンパス機器の本格的な稼働は本年度の2月以降に開始しており、先ずは天候が安定している4月までの乾季の期間で多くのデータを取得できる見込みとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来原理的に安定してデータを取得出来る見込みであったクローズドパス機器について、高応答速度で観測を行うには致命的とも言える問題が発生したため、国内での比較検証作業に遅延が生じたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
カンボジア国の常緑季節林において、超音波風速温度計の交換と高応答の水蒸気濃度計およびメタン濃度計の設置が完了したため、これらの機器が安定してデータを出力する期間を抽出して解析を行うことが可能となった。最終年度は当初の目的に沿って、熱帯林群落上でのメタン交換の季節変動特性と、その水蒸気交換との関連性について把握するために、取得データの比較解析を行う予定である。
|