2012 Fiscal Year Annual Research Report
海水中のCO2濃度の増加が植物プランクトンの増殖と有機物生産に与える影響の解明
Project/Area Number |
22681004
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Research Institution | 一般財団法人電力中央研究所 |
Principal Investigator |
芳村 毅 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (20371536)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 海洋酸性化 / 植物プランクトン / 増殖速度 / 有機炭素生産 |
Research Abstract |
本課題により設置したCO2ガス調整システム(H22設置;H23増強)を用いて構築した,植物プランクトン単離株を用いた室内培養実験システムを数リットルサイズにスケールアップし,有機炭素分析試料を採取しながら培養を行うシステムに変更した。本実験システムを用いて珪藻5種の単離株を用いた培養実験を実施し,比増殖速度と有機炭素生産量の変化を測定した。 180 ppmから800もくしは1000 ppmへのCO2濃度の増加はおおむね(5種中4種)珪藻の比増殖速度を10%程度促進することが明らかとなった。一方,CO2濃度の増加に伴う珪藻細胞の元素組成比の変化は種毎に異なった。炭素:窒素比はThalassiosira weissflogiiにおいてのみ9%減少した。炭素:リンおよび窒素:リン比はT. weissflogiiでは減少(24および17%)するのに対して,Pseudo-nitzschia pseudodelicatissimaでは増加(44および45%)した。Chaetoceros sp.においても窒素:リン比が28%増加した。ケイ素:窒素比はP. pseudodelicatissimaで減少傾向(24%)が見られた。これらの結果は,CO2増加に対する珪藻細胞の元素組成比の応答は種特異性が高いことを示しており,応答を普遍化することはできないことが明らかとなった。 本研究結果からは,海洋酸性化に対する実環境の植物プランクトン群集の応答は群集の種組成によって異なることが予測される。将来のCO2増加に伴う植物プランクトンや生元素の動態を予測するためには,該当海域の物理・化学環境の変化に伴う生物環境の変化を考慮した影響評価実験結果を蓄積することが有効であると結論される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)