2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳発達における環境化学物質の作用機序の解明と代替実験法の確立
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22681008
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮崎 航 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (90512278)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 環境化学物質 / 脳発達 / 神経毒性 |
Research Abstract |
本研究では、環境化学物質(ダイオキシンなど)の曝露によるin vivoでの表現型がどの時期に作用し、どの作用点・メカニズムに基づくものかの解明を目指している。さらに、環境化学物質のヒトの脳発達影響への外挿を見据えたin vitroでの代替実験法・スクリーニング法の確立に利用できる成果となることを念頭に研究を進めている。 平成24年度においては、前年度中に、ヒト胎児由来神経前駆細胞を用いたダイオキシン曝露影響について検証を始め、ダイオキシン曝露により、神経系細胞の分化状態に影響を及ぼす可能性が示唆された。またその変化を及ぼす時期が特に神経系細胞分化のごく初期の段階にあることが明らかとなった。さらに、アリル炭化水素受容体ならびにアリル炭化水素受容体核内移行因子の発現レベルが神経前駆細胞の分化が進むにつれ変化していくことが認められた。これらのタンパクは神経の発達・成熟に機能していることが報告されている。そこでアリル炭化水素受容体ならびにアリル炭化水素受容体核内移行因子RNA干渉法を用いてノックダウンし、神経系細胞への分化におけるアリル炭化水素受容体ならびにアリル炭化水素受容体核内移行因子の働きとダイオキシンの影響を検証する予定である。一方、実験動物を用いた研究では、平成24年度では十分な個体数を用いて検証することができなかったため、さらに本年度も継続しておこなう。これまで行ってきた妊娠12.5日におけるダイオキシン曝露群に加え、生後0日目に母親へのダイオキシン曝露群を作成し、対照群と合わせた3群でIntelliCageを用いた行動解析を成獣で行う。また、同時に同腹の別個体を用いて、①に示した分子の変化についてヒト由来細胞との相違や共通点を検証する。以上の成果を日本環境ホルモン学会、日本衛生学会等での学術総会で発表を行った。またこれまでの成果をまとめ、論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitro研究である神経前駆細胞を用いた環境化学物質の作用メカニズム・作用時期の解析については順調に研究が進められており、今年度の研究成果から、環境化学物質、特にダイオキシンの神経分化における影響については大きな成果が期待できる。 一方で、実験動物を用いたin vivo研究については、研究を進めているが十分な実験データを得ることができていない。 環境化学物質の影響解析について、in vitroとin vivoの研究結果を総合的に用いて評価していくことを考えるとin vivo研究がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験動物を用いたin vivo研究についてはさらに研究をすすめ、個体数の調整などを行って、十分な結果を得るよう研究を遂行する。 一方、in vitro研究については今年度の研究を進めることにより大きな成果が期待できる考えているため、このまま研究を遂行していく。
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Research Products
(3 results)