2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ粒子上の精密電荷制御による単一光子パルス発生器の作製
Project/Area Number |
22681012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安武 裕輔 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (10526726)
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Keywords | 単一光子 / 半導体ナノ粒子 / 量子ドット / 結晶欠陥 / 円偏光 / スピン注入 |
Research Abstract |
量子光学分野の基礎的実験から量子暗号通・量子コンピュータといった応用用途への展開もふくめ、通信波長域におけるオンデマンド単一光子発生器の実現が渇望されている。 本研究では、通信波長域における単一光子源候補としてコアシェル構造を有する半導体ナノ粒子・シリコン中埋め込みIII-V族量子ドット・結晶欠陥に着目し、光子相関測定による単一光子発生能の評価を行い、ゲート電極による単一光子源上における電荷数制御による任意の光子発生器・検出器の創製を目的としている。また強磁性電極による単一光子源へのスピン注入を行い、量子情報分野において重要な円偏光単一光子発生も併せて試みる。 本年度は、前年度に構築したInSb埋め込みシリコン量子構造における制御性の高いポストアニール処理によるシリコン{113}線状欠陥導入手法を用いて、{113]線状欠陥由来蛍光線900meVにおける電流注入光利得を実証し、さらに時間分解PLと電場印加により{113}欠陥由来蛍光において特徴的な900meVと880meVの2つの発光中心のスイッチングに成功した。これは電場による単一光子の発光波長制御の可能性を示唆るものである。また円偏光単一光子源への足がかりとして、波長選択によるゲルマニウム直接遷移の活性化を行い、ゲルマニウムへの光スピン注入と検出、さらに強磁場中における円偏光フォトルミネッセンス測定から、ゲルマニウム直接遷移における明瞭なZeeman分裂とLandau量子化を観察した。この結果はゲルマニウム量子ドットを用いた円偏光単一光子発生器を指向するうえで非常に有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近赤外領域における光子相関測定において多少の困難があるが、それ以外の単一光子源としてのシリコン中へのIII-V族量子ドット形成技術と結晶欠陥導入と電場制御は技術的に洗練されてきており、研究目的である電荷制御による単一光子発生器の実現へむけて研究は着実に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに確立したシリコン中への量子ドット形成技術と結晶欠陥形成技術を用いて、まずは低温における近赤外単一光子検出を行う。近赤外領域におけるシングルフォトンカウンティング環境の整備が懸案であるが、時間分解測定系の構築は前年度までに整備しており、検出系の構築を早急に行う必要がある。 また強磁性電極から半導体へのスピン注入と円偏光検出は、電極形成環境・磁場中での光検出環境ともに整備が済んでおり、適切なサンプル構造構築が実現できれば、研究課題の達成だけでなく、単一光子とスピン系の結合というより一歩進んだ成果が出せるものと確信している。
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Research Products
(9 results)