2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22681020
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
品田 賢宏 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (30329099)
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Keywords | 単一原子デバイス / 単一ドーパントデバイス / 単一原子ドーピング法 / ドーピング / イオン注入 / 集束イオンビーム / シリコンデバイス / 量子デバイス |
Research Abstract |
本研究では、(たまたま存在する1個ではなく)真に1個のドーパント原子が制御され、動作の基本となる単一ドーパント原子デバイスを創製することを目的としている。ドーパントゆらぎに解決の道筋を与え、次世代デバイス設計指針を与える他、量子コンピューターをはじめとする革新的デバイスの基盤となる基幹技術を確立する。平成23年度の成果は次の通りである。 (1)単一ドーパント原子デバイスの試作と量子輸送現象の観測 2個のリンドナーをチャネル中央に有するデバイスを試作し、量子輸送現象への影響を調査した。4.2K~20Kの温度領域において、しきい値電圧以下において局所的な電流ピークが観察された。これは、電子が孤立ドナー準位を介してクーロンブロッケードに基づく単電子トンネリングによる伝導現象を示している。また、電流ピークの数は注入したイオン個数と一致しており、単一イオン注入法の個数・位置制御性の高さも合わせて示している。従来、統計的な観測と解釈に止まっていたが、試作した全てのデバイスにおいて、量子輸送現象を確認し、単一ドーパントデバイスの実現可能性を高めた。 (2)ダイヤモンドへの低エネルギーイオン注入による発光センターの生成 室温で光学的にアクセス可能な量子ビットとして有望視されているダイヤモンド中のSi-Vacancy(Si-V)センターをダイヤモンド表面に規則配列を試みた。カソードルミネッセンス測定によって、Siイオン注入に起因する発光センター738nmが室温下で明瞭に観測され、活性化アニールによってSi-V構造が生成する収率が改善することを確認した。発光強度とイオン注入量濃度に強い相関もみられ、単一Si-Vを生成する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一ドーパントを有するトランジスタを試作し、試作した全ての資料から4.2K~20Kの温度領域において量子輸送現象を観測できた他、高純度ダイヤモンド表面へのドーピングをはじめて試み、量子ビットとして有望視されているSi-Vacancy(Si-V)に起因する発光センターの観測に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)単一ドーパント原子デバイスの試作と量子輸送現象の観測より高い温度領域での単一ドーパントに由来する量子輸送現象の観測を目指す。これには単一イオンの入射位置精度を高める他、より質量の重いイオン種を選定する。また、活性化アニール中の拡散を極力抑制することが課題である。(2)ダイヤモンドへの低エネルギーイオン注入による発光センターの生成ダイヤモンド基板自体の発光が邪魔をして、低濃度で明確な発光ピークを見ることが出来なかったことが課題としてあげられる。今後、不純物発光センターが少ない高純度基板中に単一発光センターを作製し、収率を高めると共に、単一発光センターの単一光子による発光の観測が挑戦的課題である。
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Research Products
(15 results)