2011 Fiscal Year Annual Research Report
スピン波を用いた超高速演算素子実現のための基盤構築
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22681021
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
葛西 伸哉 独立行政法人物質・材料研究機構, 磁性材料ユニット, 主任研究員 (20378855)
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Keywords | スピントロニクス / スピン波 / 演算 / 非線形現象 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、スピン波を用いた超高速演算素子実現のための基盤を構築することである。スピン波は多様な伝播モードを持ち、特に無散逸伝播や擬似的な自己増幅が可能な非線形モードはスピン波デバイスを実現するうえで重要な現象である。スピン波デバイスを実現するには、これら非線形モードについての理解が必要なことに加え、高効率なスピン波生成、検出、および制御、また良質なスピン波伝播媒体の探索が不可欠である。 本年度は、高効率なスピン波励起、およびその検出法として、スピンホール効果、逆スピンホール効果の検討を行った。強磁性非磁性二層膜において、強磁性体の緩和定数が電流の印加によって有効的に最大50%以上変調することを確認した。また、従来報告では一致を見なかった電流-スピン流変換効率の指標であるスピンホール角の定量評価をPt,Pd等の金属に関して行なった。これらの結果に関して、国際シンポジウムおよび日本物理学会で報告を行った。 また、スピン波伝播材料として、酸化物強磁性体であるマグヘマイトの検討、また、スピン波の変調および反強磁性材料付加の影響についても検討を行った。マグヘマイトの磁性は膜成長条件に大きく依存するため、条件の最適化が次年度の課題となる。また反強磁性体の付加はスピン波の伝播を大きく変調するため、高品質膜の成長過程における反強磁性体の利用は困難であること、一方で反強磁性体を局所的にスピン波を変調する手法の一つとして利用することが可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピンホール効果を用いたスピン波励起、および検出に関する実験に関してはおおむね順調に進行しているが、データの信憑性、再現性、定量性の評価に時間を要したため、論文としての報告は遅れている。また、材料探索に関しては、スピン波励起・検出を先行したため、評価装置の都合上、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
スピンホール効果を用いたスピン波励起、検出に関しては現在論文を準備中である。速やかに材料の再評価に移行する。また、スピン波の変調手法(磁壁、反強磁性体、電界等)の探索も並行して行う。法の探索も並行して行う。
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Research Products
(3 results)