2012 Fiscal Year Annual Research Report
氾濫原マネジメントの高度化に向けた河川地形環境の動態観測と予測法の構築
Project/Area Number |
22681026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 良慶 京都大学, 防災研究所, 助教 (50464201)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 河岸侵食 / 河川地形環境 / 河道地形変化 / 氾濫原マネジメント / 水害地形環境 / 侵食崖 / 堆積環境 / 宇治川 |
Research Abstract |
わが国の沖積河川においては,森林保全の進展および治水施設の設置等により上流からの堆積物供給は期待できず,河道内での河岸侵食が土砂供給および河川地形変化の本質となっている.海外の大陸河川流域においては,氾濫原に宅地や田畑等が密集しており,社会基盤が河岸侵食を受けるリスクが高い.このように世界的に見ても河岸侵食による河川地形環境の変化を予測する方法が求められている. 本研究では,主に洪水イベント時に発生する側岸侵食過程の物理的動態を河川水文・地盤環境諸量の連続観測結果から明らかにするものである.具体的には,宇治川左岸高水敷(淀川河口から43.0km地点)に現地観測プラットフォームを設置し,併せてボーリングによる高水敷堆積層のオールコア採取を実施した. その結果,洪水(出水)イベント時の高水敷地下水動態に特徴があることを明らかにした.すなわち,河川水位の上昇時(洪水の初期)における高水敷堆積層の透水係数は,0.75~1.25cm/sであり,粒度分析結果(0.07mm)から求めた通常地盤工学分野で用いられる透水係数の値(0.00004~0.00075cm/s)より極めて大きな値であった.一方,河川水位の下降時(洪水の終了時)は,地下水が高水敷地盤内において鉛直下向きに浸透している観測結果が得られ,この鉛直方向の地下水透水係数は0.00019~0.00034cm/sとなり,堆積物の粒径から求めた透水係数に近い値を示した. 以上の結果をまとめると,河川水位の上昇時には,高水敷地盤内の地下水は河川水による水圧によって側方に急速に浸透し,河川水位の下降時には,鉛直下方にゆっくりと下降浸透していく動態特性が明らかとなった.これらの結果は,河道地形の予測モデルを構築する上で根幹となる知見である.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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