2010 Fiscal Year Annual Research Report
エンドサイトーシスを標的とした癌分子標的治療薬の開発
Project/Area Number |
22681034
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川谷 誠 独立行政法人理化学研究所, 化合物ライブラリー評価研究チーム, 研究員 (50391925)
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Keywords | 癌 / エンドサイトーシス / 小分子化合物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、エンドサイトーシスを標的とした新たな癌分子標的治療薬を開発することである。本年度は、主にエンドサイトーシス制御薬剤探索のためのハイコンテンツスクリーニング系の構築を行った。また、エンドサイトーシス制御候補化合物として見出した細胞質空胞化を誘導するNPD1801の作用標的解析を行った。以下に結果を示す。 まず、MCF-7細胞でライブセルイメージング解析をしたところ、NPD1801処理後約15分から細胞質上に空胞が出現し、時間とともにそれらが増加、融合していく様子が観察された。この空胞はFITC-dextranを取り込んだことから、エンドサイトーシスに由来する外因性空胞であることが示唆された。初期エンドソーム、後期エンドソームやリソソームなどのエンドサイトーシス関連オルガネラに対する免疫・蛍光試薬染色をした結果、この空胞は後期エンドソーム/リソソームマーカーのLAMP1が局在した酸性液胞であることがわかった。次に、NPD1801の細胞内標的分子を明らかにする目的で、NPD1801固定化プローブを用いて結合タンパク質のアフィニティー精製を行った。NPD1801を光親和型固定化法でアガロースビーズ上に固定化し、それを細胞抽出液と反応させ、共沈してきたタンパク質をMALDI-TOF/MSで解析した。その結果、NPD1801ビーズ特異的に共沈してくるタンパク質としてカルモジュリンを同定した。以上の結果より、NPD1801は細胞内でカルモジュリンに結合し、リソソームの形成や機能を破綻させることで、細胞質空胞化を引き起こすことが示唆された。
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