2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22682005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森平 雅彦 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (50345245)
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Keywords | 東洋史 / 朝鮮史 / 東アジア交渉史 / 交通 |
Research Abstract |
本研究では10~16世紀の朝鮮と中国・日本を結ぶ海・陸交通路について、(1)宋との海上航路、(2)元との海上航路、(3)対日窓口港の変遷、(4)北京への陸上路の4項目にわたって検証するが、本年度は特に(1)を重点課題として研究活動を進めた。 【高麗・宋通交事例の整理】朝・中の関係史料を博捜して使節通交事例を検証して一覧表を作成するとともに、これにもとづき渡航ルート情報を分析した。その結果、渡航ルートの変遷、各航路の繁閑について実証的考察が可能となった。すなわち近年重視されている山東半島(密州板橋鎮)航路の比重は外交使船に関して必ずしも高くないこと、そして江南(明州)航路が依然として主要な位置を占めることが明らかになった。次年度ではその背景に考察を進める。 【現地調査】課題(1)に関連して忠清道沿海での宋使船航路を特定すべく、外烟列島と泰安半島で調査を行った。その結果、陸標として居児島、安眠島、烏棲山、元山島が注目されることが判明した。当初予定していた白〓島・大青島・延坪島での調査は南北情勢の緊張をうけて中止し、かわって課題(2)・(3)に対応する朝鮮半島南岸(麗水・泗川・統営・馬山・熊川)での調査を行った。その結果、13世紀末に高麗政府が置いた対日警戒拠点が、主要港の位置するリアス式海岸の湾奥や、その湾口を扼する要衝に位置し、朝鮮前期の対日通交窓口・警戒網にも継承されていることを確認した。 【史料データベースの作成】当初の予定どおり課題(1)に対応して「麗宋関係朝鮮史料集」続編の草稿を作成した。次年度以降に校閲のうえ冊子やCD-ROMを作成する予定である。また課題(4)に対応して『燕行録全集』収載の使節行程記録にもとづき、大陸における旅程事例の集成を進めた。
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Research Products
(4 results)