2012 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル時代の国籍とパスポートに関する文化人類学的研究
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22682009
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
陳 天璽 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40370142)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国籍 / 無国籍 / 複数国籍 / パスポート / 越境 / 国境 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本年度は、これまで行ってきた無国籍者についての日本や海外での調査を継続して行った。その成果は、①2011年4月、タイのマヒドン大学で行われた国際シンポジウムにおいて、研究者は日本における無国籍者の実態とそれに対する支援について発表をおこない、また英文論文を投稿発表した。 ②これまで本研究プロジェクトを通して行ってきた無国籍者に関する調査を踏まえ、2011年5月に開催された移民政策学会において「「在留カード」導入と無国籍問題を考える」と題するミニシンポを行い、そこで、「日本における無国籍者に類型」と題する発表を行った。その後、同発表を論文として執筆し、同学会の特集として掲載される予定である。 ③無国籍状態となっている難民の子ども達に注目し、「難民の子どもたちの国籍とアイデンティティ」と題するシンポジウムを2011年6月上智大学で開催した。なお、その一部は、NHKのEテレ「ハートネットTV」において取り上げられ、2012年2月「日本に暮らす無国籍者」と題する番組として放送された(その後、多数回再放送された)。研究者は本調査で研究してきた成果をもとに無国籍について解説を行った。 ④本研究課題ではアメリカにおける重国籍の子ども達が、国籍・パスポート・そしてアイデンティティをいかに使い分けているのか、そして家族はどのような対応を行っているのかについても調査を行ってきたが、その研究成果の一部を、2012年11月サンフランシスコで行われたアメリカ人類学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来であれば入手困難である無国籍者や重国籍者のデーターに関しては、これまで数年間継続してきた調査の積み重ねもあり、収集が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年となる本年度は、これまで積み重ねてきた調査、データーを整理し、研究成果を学会などで発表し、また論文執筆も視野に入れながら、調査研究を進めたいと思っている。 具体的には、まず、海外の学会において学会報告を行う予定である。現在、世界華僑華人学会を含め、二つの国際学会において論文発表を行うことを検討している。 無国籍に関する研究成果に関しては、国内外における学会誌への投稿を計画している。また、国連で行われる無国籍に関する専門家会議にも参加し、現地で本研究成果を踏まえた見地から意見発表を行う予定である。世界各国の専門家と意見交換を行うことを通し、問題解決の方策を探り、本研究成果の社会還元をはかりたいと考えている。
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