2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22683005
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
眞鍋 雅史 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 准教授 (20537071)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 経済統計学 / 資金循環統計 / 財政政策 |
Research Abstract |
平成24年度は、まず昨年度に引き続き日本及び米国の資金循環統計に関するデータの整備を行った。これまでの整備で得られているデータベースは、両国の定義を揃えるべく適宜推計されたものである。具体的には、資金循環統計は制度部門×金融商品の形式で公表されているが、制度部門および金融商品についての定義を精査の上、これを必要に応じて統合することで統一を図ってきた。しかしながら、統合すればするほど定義の統一は容易となるが、情報量が減少するため分析が困難となる。この点について引き続き定義の精査を行い、再推計を行っているところである。 同様に、本研究課題の目的である日米資金循環統計の連結については、国際収支統計を活用する必要があるがこの点についても、定義の不一致や統計自身が抱える精度の問題があり、これについても分析が可能となるべく引き続き丁寧な精査を行った。 加えて平成24年度は、分析内容の検討を行った。資金循環の変化がマクロ経済に与える影響に関する研究は、これまで申請者がモデルを構築してきており、データの整備によって様々な政策の実証分析が可能となる。そこで、データの整備と同時に、分析すべき政策について、適宜ヒアリングや有識者の助言などを重ねながら検討を行ってきている。具体的には、金融政策の変化が資金循環を通じて国際的にどのような影響を与えていくか、および、欧州の財政危機が問題となっている中で、財政リスクの変化が資金循環を通じて各国経済にどのような影響を与えるかについて検証することが重要であると考えられ、これが分析可能となるようなモデルの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
日米の資金循環を接続して分析するためには、国際収支統計を用いる必要があるが、精度に問題があり、日米の資金循環統計と国際収支統計の接続方法を再検討する必要に迫られている。加えて、米国の資金循環統計の定義が複雑であり、これを分析が可能となるように十分に整理する必要があるが、依然として定義の確認に困難を伴っている。 すでに申請者のこれまでの研究において方法論が確立しており、データが整備されれば、研究の遅れを取り戻すことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き日米の資金循環統計を分析可能かつ精度の高い形式に整備していく。 ただし、日米の資金循環統計の連結には困難が伴っており、必要に応じて一時的な接近として勘弁な形で接続する方法を検討し、適宜柔軟に対応していく。 そのうえで、申請者の日本の資金循環とマクロ経済を連結したモデルに適用することで、様々な政策の実証分析を行う。検証する政策については、これまでの研究活動で検討されてきている。具体的には、金融政策の変更が両国経済に与える影響および、財政リスクの変化が両国経済に与える影響について検討する。 また、今年度は、米国の資金循環統計の推計方法に関する論文および日米資金循環統計を活用した政策の実証分析を論文として取りまとめる。前者については、米国の資金循環統計はその複雑さゆえに内外でも十分活用されてきていないため、今後、米国の資金循環統計を活用した実証分析が行われていく上での基礎的な研究と位置付けられ、広く貢献することが期待される。後者については、世界的な規模での金融の結びつきによって政策の効果が広く影響しているところであり、このことを実証する独創的な研究となることが期待される。
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