2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト新自由主義体制下における都市周縁層の社会的排除と処罰に関する国際比較研究
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22683011
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田中 研之輔 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (30513204)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 都市周縁層 / 社会的排除 / ポスト新自由主義 |
Research Abstract |
本研究は、申請者がこれまで行ってきた新自由主義体制下で新たに形成される都市周縁層の空間的隔離と社会的排除に関する研究を、(1)社会集団内(米国不法移民、野宿生活者)分析から社会階層(本研究では、とくに、都市周縁層)分析へと深化させるとともに、(2)都市周縁層の社会的排除から社会的処罰・犯罪化への厳罰化に関する社会政策過程に関する国際比較研究を行ってきた。具体的には、国際都市と日本での3年間の継続調査をもとに、1)社会的排除から社会的処罰・厳罰化、2)都市周縁層の国際比較分析を行ったうえで、3)新自由主義国家の刑罰論的転回について社会学的な国際比較実証研究を加えてきた。 その代表的な成果として、本年度は、都市周縁層の国際比較分析の先端研究としてロイック・ヴァカンによる “Punishing the Poor:The New Government of Social Insecurity”(2008)の著作の検討を行ってきた。ヴァカンは本書の冒頭で、ここ数十年の先進諸国における新自由主義の支配的趨勢と刑罰政策との密接な結びつきを指摘している。とりわけ、次の6点①都市的な異質性への厳格な処罰、②厳罰体制への法改正と犯罪監視装置の配備、③メディアや専門家による都市不安へのデマゴーク、④都市周縁層のスティグマ化、⑤刑務所等矯正施設の民営化、⑥警察組織の拡大と強化(Wacquant,2008,pp.123-124)、の共通点がみられるという。その成果として、同じくヴァカン教授の主著である『Body and Soul』Oxford Pressの全訳を完成させ、出版にこぎつけたことは特筆に値する。同時に、現地調査も継続的に行ってきており、その成果をまとめていくことが次年度の課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度から本年度にかけて、本研究の根幹部分に必要となる2冊の大著の全文翻訳をおこなってきた。その成果は、それぞれ、『ストリートのコード』(ハーベスト社)『ボディ&ソウル』(新曜社)として刊行にいたった。その作業は、時間と労力を相当にかけるものであり、その半面で当初の現地調査都市間比較にやや遅れが出ているといえる。ただし、4カ年計画の3年目にあたる本年に、2冊を出版できたことは十分に評価できる。これらの著作をもとに、個人成果を単著にまとめていくことが今年度の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる本年度は、研究の成果を単著にまとめ、刊行していくことが最大のアジェンダとなる。本年度の前半には、集中的に、アジア都市の貧困居住地区へのフィールド調査をおこなっていく。それらの都市が、欧米の都市貧困地区とどのようにことなっているのかを、都市の生活構造の基盤を動態的に分析しながら、解き明かしていく。懸念事項であった、翻訳本が刊行できたことにより、今年度は、調査への集中と、単著へのアウトプットに時間と労力を注いでいく事ができる。本研究助成を最大限にいかすべく、着実に生産を続けていく。
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Research Products
(5 results)