2013 Fiscal Year Annual Research Report
変動期の社会における法秩序の再構築――南アフリカとカンボジアの比較社会学的研究
Project/Area Number |
22683012
|
Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
阿部 利洋 大谷大学, 文学部, 准教授 (90410969)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 移行期正義 / 社会学 |
Research Abstract |
南アフリカでは、前年度の調査を踏まえ、近年再び緊張が高まっている「社会資源の再配分」問題に関する調査を実施した。紛争後に被害への対処を行う選択肢としては、裁判を通じた刑罰があるが、南アフリカでは「非白人」を「より被害を被った社会集団である」と規定し、経済的機会の優先配分を行ってきた。しかし現実には、その実施状況をめぐる軋轢が生じており、さらにはポスト・アパルトヘイトのブラック・ナショナリズムが重なり、ゼノフォビア問題が注目されることにもなった。今年度の調査では、ヴィットワータースラント大学の研究協力者とともにジョハネスバーグ市内移民集住地区を訪問し、ローカルの諸団体によるどのような調停の取り組みが、移民と南アフリカ黒人との間で実施されているか、聞き取りを行った。 カンボジアでは、クメール・ルージュ特別法廷の社会的受容に関して、とりわけ2013年7月に実施された国内総選挙との関係から関係者に聞き取りを行った。また、社会学的な観点から特別法廷を考察する論集の編集作業を進め、プノンペンにて研究協力者同士の意見交換を行った。 理論的な課題であった移行期正義分野に対する社会学的なアプローチの適用に関しては、「移行期正義の失敗」とされる批判的言説を広範に検討し、紛争後社会における社会規範の特有の状況が、社会的文脈を異にする移行期正義プロジェクトに共通する形での批判を喚起することになっているのではないか、という仮説にいたり、2013年10月の国際シンポジウムで報告した。そこでは関連研究者との質疑を通じて「動員過程の実証比較」という課題を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|