2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22683014
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
清成 透子 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (60555176)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 社会性 / 進化 / 社会規範 / 協力 / 利他性 / 実験ゲーム |
Research Abstract |
本研究の目的は、協力関係形成維持メカニズムを探ることである。とりわけ、1)秩序維持に重要な役割を果たすとされるフリーライダーを罰する人が利益を享受する状況をネットワーク型行動実験によって検討すること、2)協力関係形成維持に重要な他者からの評判形成の仕組みを検討することの2点が検討課題の中心である。ただし、計画当初の予定では、平成24年度までには固定した集団実験室を確保し、インフラ整備を終える予定であったが、震災の影響でキャンパス再配置が遅れ、24年度末までに固定の実験スペースが確保できなかった。そのため、目的1に関しては、実験計画の精緻化およびプログラムの開発を中心に行い、主として目的の2番目である評判形成の仕組みに焦点を当てた協力性判断実験を進めてきた。実験室の問題に関しては、平成25年度にようやく固定集団実験スペースの確保が可能となったため、計画通り実験を実施する予定である。ただし、目的1に関して、当初予定していた実験状況とは異なるものの、前年度に引き続き、大教室における対面式大規模集団実験をクリッカー端末を用いて実施することで多角的に検討可能な実験を実施した。ペーパー&ペンシル型の実験とは異なり、クリッカーによって意思決定を同時に行わせることで、参加者間のリアリティを増すことに成功し、集団状況下における協力行動の生成、規範に対する期待、他者の行動予測についての暗黙知について検討する実験を実施した。得られた知見は平成25年度から使用可能である実験室実験の計画に大きく反映させることが可能であり、進行そのものは順調である。また、目的2に関してはシリーズで実験を重ね、今後はデータ解析を中心に進める予定である。得られた知見は、最終的には英文雑誌に論文として投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響もあって、キャンパス再配置が遅れた結果、集団実験用のスペース確保が出来なかったので、当初予定していた個室に参加者を配置した形式でのネットワーク型の実験は実施できなかったが、代替手段を用いることで実験実施の手法を工夫した結果、研究目的を大幅に変更することなく、実験を進めることができた。平成25年度にはようやくキャンパス再配置が終了するため、実験室スペースの確保が可能となった。インフラ整備はまだ必要であるが、早急に進めることで当初の計画通り最終年度の計画を完遂する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は実験室スペース問題が解決したので、当初の予定通り、計画を進める。ただし、実験室はまだインフラ整備ができていないため、前半は実験室整備を中心とし、整備が終了し次第、順次ネットワーク型の実験を開始する予定である。実験デザイン、実験用プログラムの開発に関しては、新たな知見を組み込んだ形で現在改良中であり、最終的な目標到達に向けて、計画を遂行する予定である。またこれまで得られたデータの解析を進め、論文を作成する予定である。
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Research Products
(19 results)