Research Abstract |
過去3年間,科学研究費を受け,小学1,2年生の読みに焦点を当てた通常の学級での多層指導モデルMIMを開発してきた。この研究では,一部の学年,教科において一定の効果が認められ,モデルの有用性は窺えたものの教育現場からのニーズも踏まえると課題も残った。そこで今年度からの3年間で,多層指導モデルMIMについて"異学年・異教科における実施の可能性",どのような条件下の学校でも(研究的サポートがなくても)実施できる"汎化体制の構築",先の研究で読みの力に効果がみられた児童が研究参加から数年を経て,その"効果が持続的なものか,フォローアップすることで真の効果を問うこと"を目的とし遂行している。 本年度は,"異学年・異教科における実施の可能性"の一環として,研究協力者らにも要請し,"異教科・異課題におけるMIM"の提案を求め,現在,「数概念(算数)」「繰り上がり・繰り下がり(算数)」「ローマ字」「九九(算数)」等のMIMの具体的アセスメントおよび指導パッケージが出されている。また,"異学年における実施の可能性"として,以前の研究で開発したMIM-PMという集団で一斉に実施可能な読みのアセスメントを子どもの学習のつまずきの早期把握・早期支援につなげるという試みのもと,異学年においてもスクリーニング的に実施し,その効果をみている。就学前児から中学校3年生まで,約3000人分のデータが収集され,相当学年の値の算出を可能にした。 さらに,"効果が持続的なものかについてのフォローアップ調査"については,現在,最長で参加してくださっている学校では,MIMに1年生で参加した児童が4年生になっている。これらの児童の経過を引き続き追跡し,効果の持続性がどのような形で表れるのかについても検証を続けたい。
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