2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22684002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸田 幸伸 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任准教授 (20503882)
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Keywords | 導来圏 / 安定性条件 / Donaldson-Thomas不変量 / Gromov-Witten不変量 |
Research Abstract |
本年度の研究成果の一つに、Marian-Oprea-Pandharipande(MOP)らによって導入された「安定商」の概念を一般化した「ε-安定商」という概念を導入したことが挙げられる。このεは安定性条件のパラメータであり、εが十分大きいとε-安定商の理論はグラスマン多様体上の安定写像の理論と等価になり、εが十分小さいとε-安定商の理論はMOPによる安定商の理論と等価になることを示した。これにより、安定写像の理論と安定商の理論が壁越え現象で理解されることとなった。近年、Donaldson-Thomas(DT)型の不変量の壁越え理論がJoyce-Song, Kontsevich-Soibelmanらにより確立され、これによってDT型の不変量については多くの応用を与えることができたが、Gromov-Witten(GW)型の不変量の壁越え理論についてはこれまであまり研究されてこなかった。ε-安定商の数え上げ不変量はGW型の不変量であるため、この壁越え理論を理解することでGW不変量の計算等に有用になると考えている。また、昨年度に引き続きDT型不変量の壁越え理論についても研究した。従来まではCalabi-Yau 3-foldの構造層の体積が十分に大きい状況(Large volume limit)でDT理論を考えてきたが、逆に構造層の体積が十分に小さい状況(Conifold point)でのDT理論を考察し、この状況下でのDT理論が壁越え理論及びSeidel-Thomas捻りによってどの様に関わってくるか明らかにした。具体的な状況下での不変量も計算した結果、LVでの理論のlogが出てくるという興味深い現象を観察した。
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