2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22684003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅岡 正幸 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10314832)
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Keywords | 群作用 / 葉層理論 / 力学系 |
Research Abstract |
前年度の終わりに,ある離散可解群の2次元球面への作用は局所剛性は持たないものの,その摂動はすべて標準的なものと滑らかに共役になり,特に球面上の滑らかな共形構造を保つことを示した.本年度には,この結果を一般次元の球面への作用に関する結果へと拡張することに成功した.その過程で,作用の大域固定点の安定性や,変形複体のコホモロジーの消滅を示すための新しいテクニックを開発した.大域固定点の安定性を示すテクニックや,作用の剛性問題を局所作用の剛性問題に帰着させる方法は,今回対象とした群作用だけでなく,似たような代数構造を持つ群の作用にも適用できると考えられるので,次年度以降に,これらの方法を用いて,剛性を持つ群作用の更なる例の構成につながると予想される.一方,コホモロジーの消滅を示すために用いた方法は非常に形式的な計算であり,その幾何学的な意味は未だはっきりしていない.共形幾何学の観点からの説明が可能であると考えられ,また,そうした説明を与えることは,本研究課題の目標の一つであるアノソフ系の安定葉層の剛性問題の解決にも役立つと予想される. アノソフ系の安定葉層の剛性問題に「共形構造についてのシュワルツ微分」を適用することに関しては,いくつかの困難が見つかり,単に理論の整備をすればよいというものではないことが明らかになった.一方,今年度得られた結果で用いた方法を直接この問題に適用することに関する困難も見つかっている.現時点では問題の解決にはどちらの方法が有効であるかはわからないため,次年度二つの方法のそれぞれの困難の解決の方法を平行して探って行きたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つである,剛性を持つ群作用の新しい族の構成に成功した.さらにその過程では,剛性問題に有用な,新しいテクニックが開発された.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果をふまえて,懸案であるアノソフ系の安定葉層の剛性問題を解決する.また,本年度に開発したテクニックを用いて,剛性を持つさらなる例の構成を行う.平行して,表現論などを用いて作用が局所剛性を持つかどうかを調べ,これまでに知られている剛性の証明方法と比較をする.そして,これらの研究の成果をふまえて,作用の剛性を導くメカニズムの統一的な理解を目指す.
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Research Products
(6 results)