2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22684005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 良樹 名古屋大学, 理学研究科, COE特任助教 (60547545)
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Keywords | 可視光宇宙背景放射 / 観測的宇宙論 / 光学赤外線天文学 |
Research Abstract |
本研究は可視光宇宙背景放射(COB)の世界初検出を目的とし、その障害となる地球大気放射・黄道光などの前景光を暗黒星雲による遮蔽効果を利用して除去する(暗黒星雲法)という新手法を最大の特長とする。本年度は、当初計画では想定しなかったことであるが、NASAの惑星探査機パイオニア10号・11号が黄道光領域外側を航行中に取得した偏光撮像データを用いることで、前景光除去を精度よく達成することができるという新しい着想を得た。そこで該当データを入手し解析作業を行って、4000,7000Åの2波長帯で高銀緯領域の輝度マップを得ることに成功した。この輝度マップは地球大気放射・黄道光という二大前景光の影響が無視できるレベルにまで(且つモデルに依存しない形で)抑えられているという点で、現在稼働しているいかなる観測装置によっても得ることのできない極めてユニークなものとなっている。残る前景光成分である銀河系内の星の光とその星間塵による散乱光については、全天の星カタログと遠赤外線の放射強度地図を用いて除去を行う方針で、分析を進めている。またこの解析と並行して暗黒星雲法実施のために、ニュージーランドのマウント・ジョン天文台に約2週間滞在し、名古屋大学MOA-II 1.8m望遠鏡による広視野撮像観測を行った。一方で得られるCOB強度の理論的解釈のためには、宇宙全体の光源分布、特にその大部分を作り出すと考えられる星形成率分布を知ることが不可欠である。そのために近傍から遠方までの銀河および活動銀河核の観測を実施しており、その解析を次年度に予定している。
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Research Products
(19 results)