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2012 Fiscal Year Annual Research Report

低温フォトニックアシスト常伝導空洞による高電界・高Qを兼ね備えた新領域電子加速管

Research Project

Project/Area Number 22684010
Research InstitutionHigh Energy Accelerator Research Organization

Principal Investigator

吉田 光宏  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (60391710)

Project Period (FY) 2010-04-01 – 2014-03-31
Keywords加速器 / フォトニック
Research Abstract

本研究の目的は、電子線形加速器で超伝導空洞と代替可能な高いQ値と常伝導の高電界を合わせ持つ、液体窒素温度で低損失な誘電体フォトニック構造を用いた加速空洞の実証である。フォトニック構造は構造周期で決まる周波数帯のみにバンドギャップが存在し、電磁波を閉じ込める事ができる。フォトニック構造は誘電体によって形成されるが、誘電損失は低温で非常に小さくなる事が知られており、誘電体でフォトニック構造を作れば、非常に高いQ値の加速空洞が構成できる。さらに電界強度についても誘電体には超伝導におけるクエンチのような原理的な限界が存在しない。
研究期間内に明らかにする課題としては、低損失誘電体の材質の検討、フォトニック構造の形成方法、フォトニック構造の配置、単空洞での高電界試験を行い、このフォトニックアシスト常伝導加速空洞が超伝導空洞と代替可能で、さらに常伝導加速管並みの非常に高い電界が得られる事を実証する。
本年度は、アンモニウムドーソナイト(NH4AlCO3(OH)2)を焼結する事によって製造した高純度アルミナを、開発した冷却試験チェンバーを用いて、Q値測定を行い、低温でQ値が上昇する事が確認できた。Q値測定にはギャラリーモードという誘電体の全反射を利用した高次モードによる測定を用いた。これにより、市販のアルミナより低い損失が得られ、アンモニウムドーソナイトの焼結によって得られるアルミナが非常に高純度で、本研究に必要な十分な低い損失が得られる事が分かった。
さらに多セルの空洞についても電磁波計算等を進め、設計が簡略化できる事が分かった。また高電力試験のためのチェンバーや分析系の設計を進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では冷却空洞による高いQ値を得る事が目的であり、このためには超高純度のアルミナ等の不純物の少ない誘電体の製造方法と、初年度に製造した試験チェンバーの空洞の冷却試験によるQ値測定が重要である。
アンモニウムドーソナイト(NH4AlCO3(OH)2)を焼結する事によって製造した高純度アルミナは、製造方法の様々な試行錯誤の結果、非常に高純度・高密度のアルミナが得られるようになった。これにより本研究のアルミナ空洞を研究所内で製造できるようになり、通常の外注によるアルミナの製造が必要無くなった上外注の場合の製造期間を遥かに上回る速度で様々な試験ができるようになった。
さらに冷却試験チェンバーを用いて、ギャラリーモードによるQ値測定を行い、低温でQ値が上昇する事が確認できた。
さらに詳細な材質評価、シミュレーションによる空洞の最適化やマイクロ波送電系の設計が進んでおり、全体としてはおおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

今後は高電力試験に必要な冷却能力の冷凍機を用いた加速試験用の冷却チェンバーと、ビーム源を含むこれらの分析系を製造し、高電力及びビーム加速試験を行う。
さらに多セルの構造に関して、フォトニック構造では電磁波の漏れが隣合う空洞間や入力カプラーの結合度となり、それを考慮した設計が必要である。また空洞列の両端の層数と形状を適切に選べば、導体壁の空洞に比べて、ビーム誘起波の減衰を速くできるという利点があり、高いQ値とビーム誘起波の減衰が共存できる形状を設計する。
また量産工程の試験を進めていく。量産には金型とプレスによる誘電体の形成、電子ビーム溶接等による接合、及び表面のメタライズ等が必要であり、これらのフォトニックアシスト空洞の量産技術の検討を行う。
さらにフォトニック空洞を形成する誘電体材料としてアルミナ以外の材料についても検討を進める。フォトニック構造の層辺りの電磁波の反射係数は誘電率の高い材料程大きくなり、フォトニック空洞の特性が向上する。
アルミナより高誘電率の材料として酸化ニオブやBMT等があり、これらの材料の評価も上記に加えて行なっていく。

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Published: 2014-07-24  

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