2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄系高温超伝導体における圧力・キャリア制御による超伝導発現機構の解明
Project/Area Number |
22684016
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
深澤 英人 千葉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90361443)
|
Keywords | 強相関電子系 / 低温物性 / 磁性 / 物性実験 / 超伝導 |
Research Abstract |
本研究の中心課題である圧力の異方性を考慮に入れた鉄ヒ素系超伝導の圧力効果を詳細に調べるために、改良型の小型キュービックアンビル装置クライオスタットを導入した。これにより、安定的なキュービックアンビル装置の冷却が可能になった。また、これに対応して、専用の核磁気共鳴装置および必要な部品の購入を行なった。 これらと並行して、改良型ブリッジマンアンビルセルをより安定的に稼働させるべく、セルのデザインの再考案を行ない、運用を開始した。このセルを用いることにより、これまで成功率の低かったブリッジマンアンビルセルの安定的な運用が可能になり、また、圧力媒体を変更して、圧力の異方性に注目した高圧実験が可能になった。現在、必要な追加実験を行なっており、これらの成果をまとめて論文を執筆予定である。 キャリア制御系においては、d電子系ではかなり大きな電子比熱係数をもつKFe_2As_2においてラインノードをもつ超伝導の可能性を指摘してきたが、本年度はラインノードの方向、すなわち、より本質的な超伝導対称性の決定に向けた研究を行なった。様々な研究手段から得られた結果から、ラインノードの方向は水平方向であり、より高い超伝導転移温度をもつBa_<1-x>K_xFe_2As_2(x~0.4)がフルギャップであることと連続的に接続しうる超伝導対称性であることが明らかになってきた。また、これまでおおよその形しか明らかになっていなかったフェルミ面の全容が高品質単結晶を用いたde Haas-van Alphen実験と角度分解光電子分光ARPESにより明らかになった。
|
Research Products
(15 results)