2010 Fiscal Year Annual Research Report
共通揺らぎによる非線形系のコヒーレンス生成機構の解明
Project/Area Number |
22684020
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中尾 裕也 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (40344048)
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Keywords | 非線形 / 揺らぎ / コヒーレンス / 自己組織化 / 同期 |
Research Abstract |
自律ダイナミクスを持つ非線形要素にランダム信号の同一の時系列を繰り返し入力すると、初期条件の違いや各種の実験ノイズにも関わらず、出力の再現性が向上することが知られている。また、等価な状況として、複数の同等な非線形要素群に共通のランダム外力を与えると、要素間に相互作用がなくても、それらが同期することが知られている。この種の共通ノイズによる再現性の向上・同期現象は広範な対象で共通に観察され、背後に普遍的なメカニズムの存在が予想される。このメカニズムを解明するため、計画の初年度である平成22年度は、(1)多様な揺らぎと自律ダイナミクスを扱える理論の構築と、(2)マクロな集団ダイナミクス間のコヒーレンスの解析について、重点的に研究を進めた。その他、関連する話題として、(3)ネットワーク結合要素系の各種のダイナミクスの解析も進めた。(1)については、一般の非ガウス有色ノイズを実効的な白色ガウスノイズに繰り込む確率過程論の手法を拡張してリミットサイクル振動子に適用した。これを用いて、リミットサイクル振動子間に生じる共通ノイズ同期現象における非ガウスノイズの効果を調べた。また、従来のリミットサイクルに対する位相縮約法を、カオス性による系の内在的な揺うぎの効果を取り入れられるように拡張を行った。(2)については、集団リズム間の同期現象を記述するために、集団レベルのマクロな位相応答特性を記述する関数を、系のミクロな性質に関連づけるための理論を構築した。これを用いて、相互作用する複数の振動子ネットワーク間に生じるマクロな位相同期現象を解析した。(3)については、複雑ネットワーク上の活性-抑制因子系が拡散誘起不安定性によって生じる非自明なTuringパターンを解析した。いずれの研究内容についても、得られた結果は、論文および学会にて発表した。
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Research Products
(11 results)