2011 Fiscal Year Annual Research Report
共通揺らぎによる非線形系のコヒーレンス生成機構の解明
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22684020
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中尾 裕也 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40344048)
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Keywords | 非線形振動 / コヒーレンス / 同期 / 揺らぎ / 自己組織化 |
Research Abstract |
平成23年度は本研究計画の第2年度であった。共通揺らぎによる非線形系のコヒーレンス生成機構現象に関して、以下に述べる内容について研究を行った。(i) 共通のポアソンランダムインパルスによるリミットサイクル振動子の同期現象について、同期を最適化するような振動子の位相応答関数を求めた。同期状態の安定性を定量化するリアプノフ指数を適当な拘束条件の元でEuler-Lagrange方程式を数値的に解くことによって求め、その形状の意義について議論した。また直接数値計算により実際に同期が促進されることを確認した。(ii) 単一の振動子の示すリズムではなく、多数の動的素子が集団的に生じるリズム現象に対する位相記述法を発展させた。以前の研究で多数の位相振動子の大域結合系については解析が行われていたが、これを興奮性素子の大域結合系に拡張した。これにより、構成要素が振動的ではない場合においても、集団リズムを位相記述することを示し、その位相応答特性を議論した。(iii) 時間遅れを含む力学系の自励振動の縮約記述法について解析した。マクロな脳波の波形を定性的によく再現する数理モデルを複素Ginzburg-Landau方程式に中心多様体縮約することにより、そのような振動子間に生じる同期特性を議論した。以上の結果は国際学術論文誌および国内外の学会・研究会にて発表した。さらに、反応拡散系の自励振動状態に対する位相記述法の解析を開始し、予備的な成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から計画していた最適な位相応答関数の導出には成功し、その結果を公表することができた。また、興奮性の素子系における集団リズムの位相記述に関する研究も順調に進み、結果を公表できた。時間遅れ系に関する研究は当初は予定していなかったが、本研究計画にも関係が深い内容であり、その研究が進展したことには意義があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画の数理的なバックグラウンドである非線形振動現象の位相記述理論に関する研究を進め、確実に進展させる。また、発展させた理論を用いて各種の具体的な系におけるコヒーレンス生成現象の可能性の考察を深める。
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Research Products
(11 results)