2012 Fiscal Year Annual Research Report
共通揺らぎによる非線形系のコヒーレンス生成機構の解明
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22684020
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中尾 裕也 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40344048)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 非線形ダイナミクス / 確率過程 / リズム現象 / 同期現象 / 揺らぎ / 縮約理論 |
Research Abstract |
平成24年度は本研究計画の第3年度であった。共通揺らぎによる非線形コヒーレンス生成現象および関連する非線形ダイナミクス分野の諸問題に関連して、以下に述べるような内容について研究を行った。(i) 周期外力を受ける多数の非線形振動子結合系における同期率の揺らぎに関する理論解析を行った。考察した系に対してWatanabe-Strogatz ansatzを適用することにより、同期率の揺らぎは低次元の決定論的カオスに帰着できることを明らかにした。(ii) ネットワーク結合活性・抑制系におけるTuringパターン形成ダイナミクスに関する解析を行った。系にフィードバックを与えることによって不安定化が生じる際の分岐のタイプを亜臨界から超臨界に変えることができ、臨界固有モードを実現できることを示した。(iii) 時間遅れ系の示す非線形リズム現象を理論的に取り扱うための位相縮約理論の拡張を行った。無限次元の相空間を持つ時間遅れ力学系に対する適切なbilinear formを導入することにより、振動子の応答を特徴付ける位相感受関数を導出した。(iv) 光強度や加速度等のランダムな環境データを用いた非線形振動子の同期に関する研究を行った。得られた結果の一部は国内外の学会・研究会および国際学術論文紙において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度には国際学術誌に3件の論文を掲載し、学会・研究会においても多くの発表を行った(国際研究会での発表の一部を次頁に記載)。未公表の研究についても順調に解析を進める事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の理論的背景である位相縮約理論をさらに様々な系に適用できるように拡張し、それを用いてより多様な系におけるコヒーレンス生成現象について議論する。非線形ダイナミクスの関連する研究についても進展させる。
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Research Products
(10 results)