2010 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー冷却イオンで実現する極低温中性原子気体の局所物性研究
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22684021
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
向山 敬 電気通信大学, 先端領域教育研究センター, 特任准教授 (70376490)
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Keywords | 原子・分子物理 / イオントラップ / レーザー冷却 / 超流動 |
Research Abstract |
本研究の目的は冷却イオンを用いた極低温中性原子気体の「電場による局所操作法」の実現である。そのために平成22年度は、イオンを冷却するための光源の周波数安定化の改善とトラップのための電場を発生するための回路を作成し、実際にトラップ実験に挑戦した。しかしながら、実験の中でイオン化のレートが低すぎるためにイオンがためられていないことが分かり、これまでの電子銃を用いたイオン化の方法でなく、光による高速のイオン化を行う決断をした。光イオン化用光源としては中性カルシウム原子を第一励起状態に励起するための423nmの光源と第一励起状態からイオン化準位への励起を行う光源の2つが必要である。423nmの光源は846nmの光を半導体レーザーで作成し、第2高調波発生用共振器を用いて発生させた。イオン化には100μW程必要であるが、我々は300μW生成することに成功し、十分な強度を得ることができた。また、冷却用光源である397nmと866nmのレーザーの長時間における周波数安定度が十分でないことも同時に分かったため、ヘリウムネオンレーザーの安定度を半導体レーザーに転写する技術を用いて安定化を行った。これによりレーザーの周波数安定度を大幅に改善することに成功した。さらに中性原子であるリチウム原子をトラップするのに必要な671nmの光源と光トラップのための1064nmの光源(半導体レーザー励起のYVO4結晶を共振器内に配置してレーザー発振させた光源)の準備を行い、これらの光源の準備も完了した。
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