2011 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧下弾性波速度測定による下部マントルの鉱物学的モデル構築と不均質構造の解明
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22684028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 元彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50401542)
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Keywords | 超高圧実験 / 弾性波速度測 / 地球深部科学 |
Research Abstract |
本研究課題では、ダイヤモンドアンビルセル高圧装置とブリユアン散乱測定法を用いてマントル最下部まで(深さ約2900km; 圧力約135GPa)にいたる超高圧高温状態のマントル鉱物の物性研究を行い、高温高圧条件における鉱物の弾性波速度及び弾性定数を決定し、最下部マントルにいたるまでの全下部マントルのダイナミクスを解明することを目的とする。鉱物中の弾性波速度を光学的手法により非常に精密に直接測定することが可能であり、地球科学分野においてごく最近、非常に興味深い結果を出しつつあるブリユアン散乱の物性精密測定の技術に注目し、本技術と静的に地球中心部までの温度圧力条件の発生が可能なレーザー加熱式(及び外熱式)ダイヤモンドアンビルセル装置とを組み合わせることで、マントル最深部にいたるまでの温度圧力条件における構成鉱物の弾性波速度と弾性定数を決定し、下部マントルのダイナミクスを定量的に明らかにすることを目指し、MgO,MgSiO3,(Mg,Fe)O,Al-MgSiO3に関する下部マントル温度圧力条件下での弾性波速度測定に成功した。また、SiO2ガラス及びMgSiO3ガラスの200万気圧を越える超高圧力条件で弾性波速度測定に成功した。本実験結果から、下部マントルは上部マントルよりもよりケイ素に富むモデルが整合的となり、地球のマントルは上部と下部で化学組成が異なるということを実験的に実証した。このことは地球が形成初期から上部と下部マントルでことなる対流が卓越していたということを強く示唆している。また地球の全岩組成は、始原的隕石であるC1コンドライト的な化学組成で最も良く説明できることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
下部マントルに相当する高温高圧条件下での弾性波速度測定を成功しただけでなく、静水圧力下における弾性波速度測定の世界最高圧力記録である200万気圧以上での測定にも成功したから。
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Strategy for Future Research Activity |
今度はより、高精度の弾性波速度測定を目指すために、測定システムの改良に努めていく。また、高温発生技術の安定化を図ることによって、鉱物の融点付近あるいは融解した状態での測定に生かしていきたい。
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Research Products
(8 results)