2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性酸化物表面における光触媒機能の1分子分析とメカニズム解明
Project/Area Number |
22685002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥山 弘 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60312253)
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Keywords | 単一分子 / 酸化物表面 / 光反応 / STM |
Research Abstract |
本年度は光を導入可能な走査トンネル顕微鏡装置(STM)を立ち上げ、その性能の評価を主に行った。まず実験時間を長時間確保するため、液体ヘリウムタンクの大型化(5L)を行い、その結果、従来の6時間から12時間へと低温保持時間を上げることに成功した。光を照射前後で同じ分子を追跡することが重要となるので、光照射窓をできるだけ小さくするために熱シールドとシャッターに幅3mmの孔を作成した。この孔による温度上昇は1K以下であり、実験にはほとんど影響しないことを確認した。単分子観測のテストとして、一酸化炭素分子を吸着したCu(110)表面の観測を行った。一酸化炭素分子は文献通り「窪み」として観測された。また単分子実験の指標となる非弾性トンネル分光測定も行い、予定通り一酸化炭素分子の振動を観測することに成功した。これにより、新しく立ち上げたSTMによる単分子実験の基盤ができた。翌年度からは光を導入し、照射前後で同じ分子を追跡することを目標として装置の立ち上げを続けていく。本年度はこれと並行して既存のSTM装置を用いた水分子のクラスタ形成実験を行った。Cu(110)に水分子を吸着させ、STM操作により2-6量体のクラスタを作成することに成功した。理論計算との共同研究により、それぞれのクラスタについて構造を決定し、Cu(110)表面では鎖状に成長するクラスタが特異的に安定であることを見出した。本研究で得られた知見を生かし、今後は光照射による水分解反応のクラスタ構造依存性へと研究を展開していく。
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Research Products
(4 results)