2011 Fiscal Year Annual Research Report
高強度・円偏光レーザー場による原子・分子内環電流・誘起磁場の実証と解明
Project/Area Number |
22685004
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
赤木 浩 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (70354818)
|
Keywords | 電子ダイナミクス / 中赤外レーザー光 / 円偏光 / イオン化 |
Research Abstract |
高強度レーザーによる新規な原子・分子制御法の開発を目指し、高強度レーザー場によって誘起される電子波束および磁場ダイナミクスの解明を行う。理論予測されている高強度・中赤外(~10μm)円偏光レーザー照射による原子・分子内環電流および磁場発生を実証することを目標とする。前年度までに、中赤外レーザー光源の整備、中赤外光ポンプー近赤外光プローブによる時間分解光電子分光計測システムの構築、およびその動作確認までの作業を完了した。 本年度は、整備した計測システムを利用して、時間分解イオン生成観測を試みた。レーザー光強度に基づく見積りによれば、中赤外光と近赤外光を集光して照射すれば、2つのレーザーパルスが時間的-空間的に重なる条件でイオン生成量の増大が確認できるはずである。しかしながら、現時点ではイオン生成量の増大を観測できていない。その原因としては、中赤外光と近赤外光の、時間的-空間的重なりが最適化できていないことにあると考えている。既存の光電子-光イオン分光用チャンバーは、内部構造が複雑なため、イオン化領域での2つのレーザー光の空間重なりを確認する事が出来ない。そのため、チャンバー内で空間重なりを最適化することが困難である。その困難を解消するため、覗き窓やピンホールを設置するなど、空間重なりを容易に確認するための改修作業を行う事にしたが、光電子-光イオン分光用チャンバーは構造上の問題により改修することが出来なかった.そのため、別のイオン計測用チャンバーを使用することとし、その改修作業を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していたより、真空チャンバー内で中赤外レーザー光と近赤外レーザー光の空間重なりを最適化することが困難であり、既存の真空チャンバーの改修作業を行う必要が出てきたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
既存の真空チャンバーの改修作業を行うことで空間重なりの最適化を容易にする。さらに、時間重なりの自由度を減らすため、中赤外光の波長を対象分子の振動エネルギーに合わせた実験を行うことで、実験の効率化を図る。
|