2011 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素二重結合化学種の徹底活用による機能性材料の開発
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22685005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 直和 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00302810)
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Keywords | アゾベンゼン / ホウ素 / 配位結合 / 蛍光 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、2位に電子受容性の高いホウ素置換基を有する様々な蛍光性アゾベンゼンを合成したが、ボリル基が一つでは一方の炭素-窒素結合が回転できるため、分子運動によって光励起エネルギーが失活する。分子の剛直性を増大することで蛍光量子収率の向上とπ共役系のさらなる伸長を目指すべく、分子内窒素-ホウ素配位結合をダブル化したアゾベンゼンの合成をおこなった。2-ボリルアゾベンゼンの場合と同様に、2,2’-ジブロモアゾベンゼンのリチオ化を経てホウ素求電子剤との反応をおこなったところ、4,4'位に電子求引基を有する場合には目的物が得られなかったが、電子供与基を有する場合には低収率ながら目的物を合成することができた。2,2’-ジボリルアゾベンゼンの紫外可視吸収スペクトル、蛍光スペクトル、絶対蛍光量子収率を測定し、吸収波長、蛍光波長、Stokesシフトの大きさを2-ボリルアゾベンゼンの場合と比較したところ、吸収波長と蛍光波長はともに長波長シフトし、Stokesシフトは小さくなっていた。分子内窒素-ホウ素配位結合のダブル化によって分子全体が平面に固定された配座をとるため、2-ボリルアゾベンゼンよりもπ共役系が伸長したことを反映した結果であると考えられる。また、4,4'位の置換基の違いに応じて、橙色、赤色、紫色という異なる蛍光発光を示した。このように多彩な色調の蛍光性アゾベンゼンが合成できたことは、工業用材料としての応用が期待される意義深い結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、予定通りに進行している部分と、予定していた研究成果が得られていない部分と、予想していなかった知見が得られた部分がある。全体を総合的に判断すると、予定していた研究成果が得られていない部分があるため、全体ではやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに見出したホウ素-窒素配位結合による蛍光発光を鍵として、他の元素による蛍光発光の性質の相違点とその解明、ならびに蛍光発光の応用を進める。研究を進める方法として、現在までに得られた知見をふまえて、物理化学的な手法、有機化学的な手法、生物化学的な手法を駆使して進めていく。
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Research Products
(4 results)