2013 Fiscal Year Annual Research Report
含窒素二重結合化学種の徹底活用による機能性材料の開発
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22685005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 直和 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00302810)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アゾベンゼン / 配位結合 / ホウ素 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で合成した蛍光性アゾベンゼンを活用して、特定のタンパク質に特異的に結合して蛍光を発し、バイオイメージングに利用できるアゾ染料の開発を検討した。ヒドロキシ基を有する蛍光性アゾベンゼンに対して、ヒストン脱メチル酵素に強く結合するペプチドと連結を試みた。固相合成法による合成を試みたが、OH基とBoc保護したアミノ酸を結合させる際に、ペプチドの切り出しが効率よく進行せずに断念し、さらなる条件検討が必要であることがわかった。次に、これまでに合成した2,2’-ビス(トリフルオロシリル)アゾベンゼンに紫外光を照射した場合の光化学的挙動を調べたところ、光異性化と蛍光発光の両方が起こっていることがわかった。蛍光量子収率はホウ素置換アゾベンゼンの場合よりも低いが、蛍光発光を目視で確認できた。そのような強い蛍光発光と光異性化の両方の挙動を示すアゾベンゼンは、これが初めての例である。DFT計算ならびにTD-DFT計算を行った結果、2,2’-ビス(トリフルオロシリル)アゾベンゼンでは二つの窒素-ケイ素配位結合によってn軌道の軌道エネルギー準位が低下し、許容遷移であるπ―π*遷移が最低励起一重項状態となっていることがわかった。このことが蛍光発光の原因であると考えられた。X線結晶構造解析により決定した窒素-ケイ素配位結合の長さは、配位結合を形成するのに十分短いが、共有結合と比較するとかなり長く、この配位結合が適度に弱いことが示された。その結果、配位結合によって光異性化は妨げられずに進行すると考えられる。すなわち、二つの弱い分子内窒素-ケイ素配位結合が、二つの光化学的性質が両立する鍵となっていることを明らかにした。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)