2010 Fiscal Year Annual Research Report
走査型電子増強ラマン分光顕微鏡の開発と界面化学計測への応用
Project/Area Number |
22685009
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
由井 宏治 東京理科大学, 理学部, 准教授 (20313017)
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Keywords | 分光 / 走査プローブ顕微鏡 / ラマン散乱 |
Research Abstract |
開発初年度である本年度は、走査型プローブ顕微鏡とレーザー導入光学系の組み合わせ、設計・開発を行った。走査型プローブ顕微鏡は、AFM、STM両モード対応とし、液中での計測ができるようにアレンジした。さらに将来での水中での高感度計測に備え、従来の振幅変調モード(AM)だけでなく、周波数変調モード(FM)での計測試験を行った。FMモードについては、測定系による最適化が必要であるため、まずは、AMモードでの開発を行うこととした。一方レーザー光は、AFMやSTMのカンチレバーの側面から導入する光学系を設計した。 ラマン散乱計測に関しては、顕微鏡下で細胞1個1個の計測を行い、アルゴンイオンレーザーを用いて、基本となるラマン散乱スペクトルを計測した。脂質だけでなく、蛋白質に由来するいくつかのアミノ酸のシャープなピークを得ることができた。これらの試料は厚みがあるため、AFMモードでの励起・増強を考えている。一方でSTMモードでは、基板へトンネル電子が流れなくてはいけないため、電子を流し易い基板に吸着させたポルフィリンやSTM探針に接合したカーボンナノチューブについて試料の検討を始めた。 以上、装置系に関して、FMモードを除いては順調にレーザー系と走査型プローブ顕微鏡の組み合わせが進んだが、FMモードによる画像取得については、次年度以降に持ち越すこととなった。試料系に対してはAFMモード用の測定試料は問題なくSTMモード用の試料については、試料に対して特別な調製が必要なため、引き続き次年度に持ち越すこととなった。
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