2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物ナノシート・金属錯体を活用した次世代外場応答性イオン液体の創成
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22685015
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
吉田 幸大 名城大学, 総合研究所, 助教 (10378870)
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Keywords | イオン液体 / 有機-無機ナノコンポジット / 金属酸化物ナノシート / ナノ粒子 / 金属錯体 / 外場応答 / プロトン伝導 / 発光特性 |
Research Abstract |
代表者が確立した手法を用いて、Ti_<1-δ>O_2ナノシートから成る白色粘弾性ナノコンポジットを得た。機械的に延ばすだけで厚さ100nm以下の半透明膜に成形できる。光吸収スペクトルからバンドギャップは3.19eVと見積もられ、397nm(3.12eV)と780nm(1.59eV)に発光バンドが観測された。相対湿度50%、25℃でのプロトン伝導度は7.5×10^<-8>S cm^<-1>と低いが、加熱ならびに加湿により伝導度は増加し、相対湿度95%、80℃では1.3×10^<-4>S cm^<-1>に達する。活性化エネルギーは比較的小さく(相対湿度95%で0.42eV)、プロトン伝導はGrotthuss機構に由来すると考えられる。さらに、白色キセノン光(約50mW cm^<-2>)照射によりプロトン伝導度が倍増することを見出した。照射をやめると、プロトン伝導度は約半日かけて元の値に戻る。本物質は、温度、湿度、光照射によりプロトン伝導性が応答する初めての粘弾性ナノコンポジットである。MnO_2粘弾性ナノコンポジットについては、陽イオン種が粘弾性やプロトン伝導性に与える影響について検討した。プルシアンブルーナノ粒子を用いた液体もしくは粘弾性物の開発も試みているが、現在までのところ固体物しか得られていない。 キャパシタや電界効果トランジスタの液体電気二重層として最もよく使われているdiethylmethyl(2-methoxyethyl)ammonium(DEME)陽イオンから成る5種の(C_nF_<2n+1>SO_2)_2N (n:0-4)を作製した。熱的特性、イオン伝導性、粘性、ソルバトクロミック特性から、イオン拡散性やイオン会合性について知見を得るとともに、テトラアルキルアンモニウム-(C_nF_<2n+1>SO_2)_2Nの結晶構造解析から局所的なF...F相互作用の存在を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、代表者が分担者として参画している他の大型研究課題が始動したため、そちらに多くの時間ならびに労力を費やす結果となった。また、ナノシートの出発原料となる層状酸化物の高温固相合成やナノ粒子含有液体の開発にも手間取っており、当初の計画通りに進展しているとはいい難い。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、溶液中でのボトムアップ合成法が報告されている金属酸化物ナノシートを用いて機能性液体の開発を行う。また、ナノ粒子含有機能性液体の開発に多くの時間・労力を費やす。
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Research Products
(9 results)