2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規蛍光強度増大型プローブによる細胞内蛋白質標識法の開発
Project/Area Number |
22685016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 雄一郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00444563)
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Keywords | 蛋白質標識法 / タグ蛋白質 / 蛍光プローブ / PYP |
Research Abstract |
蛋白質標識法として、タグ蛋白質とその特異的リガンドをもとにした蛍光プローブを用いる方法は、蛍光蛋白質によるイメージング法にかわる手法として大きな注目を集めている。この手法の利点は、特定のタイミングで蛋白質を標識可能なことと、様々な蛍光色素をプローブに導入できることである。一方、この手法では、遊離プローブと標識されたプローブの蛍光の区別がつかないために、細胞の洗浄によりプローブの除去を行う必要があることが問題として指摘されてきた。このため、より迅速に、高いS/N比で蛋白質をイメージングするには、蛋白質の標識に伴い蛍光強度の上昇するプローブの設計が望まれている。そこで、この問題を解決するために、演者らはPYPを新規タグ蛋白質として蛋白質を標識する手法を開発してきた。PYPは、紅色硫黄細菌由来の小蛋白質であり、桂皮酸/クマリン誘導体と特異的に結合することが知られている。前年度までの研究で、PYP-tagを標識することのできるクマリン型発蛍光性プローブを創製することに成功している。しかしながら、開発したプローブは、標識速度が遅いため(24時間以上)、蛋白質の蛍光イメージングには洗浄操作が必要であり、標識速度の向上が課題となっていた。 本研究では、PYPの標識速度を向上させるために、プローブのリガンド構造として桂皮酸を導入した新規プローブFCANBを設計した。FCANBには、標識反応に伴い蛍光強度を上昇させるスイッチとして、蛍光色素と会合することの知られているニトロベンゼンを組み込んでいる。実際に標識反応を行ったところ、FCANBは、PYPとの結合に伴い蛍光強度を上昇させ、以前開発したプローブの100倍以上の反応速度を有していることが示された。さらに、FCANBを用いることで細胞膜上のPYP融合蛋白質を洗浄操作を行うことなくイメージングすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究において、蛋白質標識に伴い蛍光強度の上昇するプローブの開発を行っていたが、標識反応の完了に24時間以上を要することが問題であり、反応速度を向上させたプローブの改良が課題であった。本年度の研究において、反応速度が100倍以上向上したプローブの開発に成功し、本研究プロジェクトの目的の一つである蛋白質の無洗浄生細胞イメージングに成功した。このことから、研究の進展は概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、細胞膜上の蛋白質のイメージングに成功しているものの、細胞内の蛋白質のイメージングは達成できていない。これは、開発したプローブが細胞膜非透過であるためであり、今後は、細胞膜透過型の蛍光プローブを開発していく。その後、細胞内蛋白質の局在を可視化することのできる蛋白質標識技術の確立に向けて、プローブの再設計やタグ蛋白質の改変等を行っていく。
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Research Products
(3 results)