2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22685017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
瀧 真清 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (70362952)
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Keywords | NEXT-A反応 / L/F-転移酵素 / tRNA / アミノアシルtRNA合成酵素(ARS) / N末端ルール / ユビキチン化酵素(Ubrl) / Huisgen付加反応 / 不安定化蛋白質 |
Research Abstract |
1.N末端ルールに関する遺伝子(aat)を欠損させた大腸菌、および野生型大腸菌の抽出液を作成した。前者の抽出液中には、不安定化蛋白質が蓄積していると思われる。後者は比較対照実験として用いた。2.申請者の標識法(NEXT-A反応)を用いて、不安定化蛋白質のN末端にのみバイオ直交性反応点を持つ非天然アミノ酸を標識することを試みた。さらに、このアミノ酸上の反応点特異的なビオチン化を行った。この時、銅触媒なしでのHuisgen付加反応を用いて、反応点特異的なビオチン化反応ができたことは、人工不安定化蛋白質(R-DHFR)を内部標準物質として用いることで確認した。3.ビオチン標識後の蛋白質混合物を、ストレプトアビジン-アガロースカラムに通し、N末端不安定化蛋白質のみをゲル上に濃縮することを試みた。モデル実験として、N末端にリジンを持つ蛍光蛋白質をアビジンゲル上に固定化させ、回収できることは既に確認している。濃縮されたビオチン化蛋白質の電気泳動を行うことで分子量分画した。その際、内部標準物質として用いた人工不安定化蛋白質(R-DHFR)のほかに、不安定化蛋白質と思われるバンドが確認できた。4.野生型大腸菌には見られずに、aat欠損型大腸菌のみに見られた蛋白質バンドを切り出し、トリプシン消化を行った。消化後に生じたペプチド断片を回収し、質量分析法(LC/MS)にてN末端不安定化蛋白質を同定した。その結果、予期せず(NEXT-A反応用酵素である)L/F-転移酵素がビオチン化されていた結果、これが濃縮されたことが分かった。非天然アミノ酸であるアジドフェニルアラニンが、何らかの機構でL/F-転移酵素の活性中心に共有結合したものが若干量できた結果、Huisgen付加にてビオチン化されたものと思われる。その他のN末端不安定化蛋白質においては本手法では濃縮されなかった。5.また、上記1-4と同じ実験を、大腸菌を出発試料として用いるのではなく、ユビキチン化酵素(Ubr1)欠損型出芽酵母を用いて同様に行った場合についても、同様の結果が得られた。
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