2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイオミネラルにならう材料合成の新展開-有機結晶・高分子の成長制御と階層化へ
Project/Area Number |
22685022
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
緒明 佑哉 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (90548405)
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Keywords | バイオミネラル / 階層構造 / 有機無機複合体 / 水溶液合成 / 有機機能分子 / 有機結晶 / 金属酸化物 / ナノ材料 |
Research Abstract |
本研究は、自然界の有機無機複合体であるバイオミネラルの形成プロセスおよび構造を応用した材料合成を新しい方向へ展開し、環境低負荷な温和で簡便なプロセスから有機結晶や高分子の成長制御と階層構造の構築を目指す。これまで無機材料が中心であった生物にならう材料合成を、有機分子の結晶・高分子などのより幅広い物質・材料系へ積極的に展開し、形態・ナノ構造・階層構造の制御を行う。また、バイオミネラルの機能的な階層構造を鋳型とし、有機分子・高分子を複合化および主体とした階層構造構築を目指す。 平成22年度は、第1段階として以下の3つの実験を進めた。 1.有機機能分子を導入するための2つのバイオミネラルとして、貝殻稜柱層の構造解析と形成機構の解明および魚類の表皮に存在する有機結晶の構造解析を行った。いずれも、ユニット結晶が規則的に整列した構造を持ち、その隙間に有機機能分子を導入できることが示唆された。 2.魚類の表皮に存在する有機結晶に類似した構造体の作製に関する予備実験を行った。これは、これまでの水溶液中における無機結晶の成長制御の知見を有機結晶の系へ展開するための予備実験と位置付けられる。 3.有機機能分子を導入および複合化するための新しい鋳型構造の構築を行った。バイオミネラルは炭酸カルシウムでできており、機能性に乏しい面もある。よって、別な機能性無機化合物からなる鋳型をいくつか作製した。例えば酸化スズと酸化チタンにより、ナノメートルスケールではナノ結晶が均一かつ不規則に集積し、マクロには透明鋳型となりうる構造の合成に成功した。
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