2010 Fiscal Year Annual Research Report
多重クリック反応によるマルチカラー高分子アーキテクチャー
Project/Area Number |
22685023
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
道信 剛志 東京工業大学, グローバルエッジ研究院, テニュア・トラック助教 (80421410)
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Keywords | 高分子合成 / 合成化学 / クリックケミストリー / 色彩化学 |
Research Abstract |
クリックケミストリーに分類される反応は、温和な条件下で定量的に進行する付加反応である。現在知られているクリックケミストリー反応は、銅触媒存在下でのアルキンとアジドの付加環化反応やチオールとアルケンの付加反応等に限られており、新たな結合部位が発色団とは成りえない。本研究では、ドナーアクセプター型色素を生成するアルキンとアクセプター分子のクリックケミストリー反応に着目し、様々な色素構造を高収率で高分子に導入する方法を確立する。 アジド基を側鎖に有するポリスチレン誘導体を出発高分子とした。まず、低分子反応試薬の末端アルキンのみを選択的にアジド基と反応させた。室温、DMF中、銅触媒存在下で反応を実施するとポスト機能化されたポリスチレン誘導体のみが析出し、ろ過により目的高分子をほぼ定量的な収率で得ることができた。次に、ポリスチレン中に存在する電子豊富アルキン部位とアクセプター分子であるテトラシアノエチレン(TCNE)をクロロホルム中、室温で反応させると、瞬時に反応進行して赤色の高分子が得られた。一方、TCNEの代わりに共役系が拡がったアクセプター分子である7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)を用いると、若干の加熱は必要であるが副反応無く反応進行し、緑色の高分子を得ることができた。以上より、二段階目のポスト機能化において、添加するアクセプター分子の種類を調節することで、赤と緑の色彩を創り出せることが明らかになった。
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