2012 Fiscal Year Annual Research Report
多重クリック反応によるマルチカラー高分子アーキテクチャー
Project/Area Number |
22685023
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
道信 剛志 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (80421410)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 合成化学 / クリックケミストリー / 色彩化学 |
Research Abstract |
銅触媒存在下での末端アルキンとアジドの付加環化反応(CuAAC)およびDiels-Alder反応を電子密度が高いアルキンとアクセプター分子の付加反応と組み合わせることで、様々な色彩を有する高分子化合物を合成した。今回は複雑な高分子構造としてハイパーブランチポリマーの合成を目的とした。ハイパーブランチポリマーはAB2型モノマーを合成して単離した後で重合する経路が一般的である。一方、複数のクリック反応を連続で実施できれば、AB2型モノマーの単離を省略して簡便に目的構造を得ることができる。そこで、CuAACやDiels-Alder反応を電子密度が高いアルキンと7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)の付加反応と併用できるか調査した。CuAAC後にアルキン-TCNQ付加反応を実施すると対応する高分子を得ることができた。アルキン-TCNQ付加反応後にCuAACを実施した場合も同様の高分子が生成した。一方、Diels-Alder反応とアルキン-TCNQ付加反応の組み合わせでは順番が重要であり、Diels-Alder反応を先に実施する必要があった。すなわち、アルキン-TCNQ付加反応はDiels-Alder反応の官能基と副反応を起こす可能性が示唆された。この知見に基づき、A'B2型モノマーとAB'型モノマーを設計して二つのクリック反応を実施したところ、対応するハイパーブランチポリマーを得ることができた。アルキン-TCNQ付加反応を利用しているため得られた高分子は可視域に電荷移動吸収を有しており、緑色に着色していた。化学的および電気化学的刺激によって色調を変えることができることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り研究進展している。研究計画の3年目に該当する成果として、複数のクリック反応を併用することでAB2型モノマーの単離を経ることなく、対応するハイパーブランチポリマーを得る経路に関して知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより複雑な高分子構造として配列制御された一次元高分子と鎖長が一定の多分岐高分子を目的構造として設定している。従来知見に基づく色彩を創り出すために、電子密度が高いアルキンとアクセプターの付加反応を鍵として計画する。
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