2011 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性合金上へのシリコンゲルマニウム単結晶成長と縦型スピン素子への応用
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22686003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浜屋 宏平 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 准教授 (90401281)
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Keywords | ゲルマニウム結晶成長 / スピントロニクス / 分子線エピタキシー |
Research Abstract |
本研究は、これまで誰も実現していない『強磁性合金上への高品質SiGeエピタキシャル成長』を実現し、強磁性金属/半導体/強磁性金属という縦型構造からなる全単結晶スピントランジスタを作製するための要素技術を開発することを目的としている。金属系強磁性トンネル接合(不揮発メモリ素子)の抱える集積化への課題を克服するとともに、既に提案されている横型スピントランジスタ構造では技術的に困難な『極短チャネル化』や『3次元高集積化』を可能とする超低消費電力(不揮発性・高性能)電子デバイス(Beyond CMOS)の実現に貢献することが期待される。 本年度は、昨年度購入した分子線エピタキシー(MBE)装置を利用し、強磁性合金Fe_3Si上に半導体SiGeを高品質にエピタキシャル成長する技術を確立した。強磁性ホイスラー合金Fe_3Si(111)面とIV族半導体SiGe(111)面の原子マッチングが極めて良好であることに着眼し、低温MBE法を利用した界面異種反応の究極的な低減を利用した。特に、DO_3規則化したFe_3Si結晶構造を(111)断面で考えると、Fe面×3+Si面×1という積層構造の周期を形成しているため、Si原子層でFe_3Si薄膜の結晶成長を停止する事が可能である。Si面で終端したFe_3Si薄膜は、原子レベルで平坦な表面を維持した状態であることを電子線回折(RHEED)で観測した。成長温度や成長速度など、非常に細かい成長条件のチューニングを検討した結果、膜厚30nm以上の良好なGeのエピタキシャル薄膜を良好に得た。得られたGe/Fe_3Si界面を断面電子顕微鏡観察した結果、原子レベルで急峻な界面を得ていることも判明した。今後、この界面を介したスピン伝導の実証を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで誰も実証していない「金属上のGe薄膜成長」という挑戦的なテーマにも関わらず、実験結果ではコンセプト通りの結果が得られており、初期に設定した研究計画が進んでいる。また、同時に微細加工技術の方の検討も進行中であり、デバイス研究の方に進む予定もたっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、強磁性合金上の高品質Ge薄膜成長に成功した。この成果は世界初の快挙であり、現在論文を執筆中である。早期にこの技術の有用性をアピールする予定である。また今後は、Ge薄膜を介したスピン伝導の観測が最大の課題であるが、その際には「スピン注入やスピン検出」に関する検討を視野たいれた「不純物ドーピング技術」の検討を行う必要がある。今後は、Ge薄膜の成長と不純物のドーピングの技術を同時に検討する予定である。
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