2011 Fiscal Year Annual Research Report
共役π電子系有機ナノフォトニック構造によるアクティブ光制御デバイスの創製
Project/Area Number |
22686008
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
井上 振一郎 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所・ナノICT研究室, 主任研究員 (20391865)
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Keywords | 有機非線形光学材料 / フォトニック結晶 / 光ナノデバイス / 光スイッチ / 光位相制御 / 電気光学効果 / ナノ微細加工 / 光変調デバイス |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、共役π電子系有機分子・高分子の光電子特性を、ナノ領域で最大限に引き出すと同時に、新たなアプローチから有機非線形機能や光位相をナノ光空間において操作し、極低消費エネルギー・超高速動作の非線形光スイッチング素子の実現や、光・電気ハイブリッド制御による革新的な有機アクティブ光制御素子を創出することである。研究開始2年目であるH23年度では、半導体材料を凌駕する超高速性(>THz)や高い電気光学係数(r_<33>>100pm/V)を併せ持つπ電子系有機非線形光学ポリマーとシリコンフォトニクスを融合させるプロセス技術を開発し、さらに位相変化量を大幅に増大させるナノスロット-フォトニック結晶導波路構造と組み合わせることで、極低消費エネルギー・超高速動作のシリコン・有機非線形光学ポリマー融合型スロット-フォトニック結晶電気光学(EO)光変調デバイスの実現を目指し、理論設計と素子作製評価を行った。ナノスロット空隙内に独自開発した有機EOポリマーを充填したSiスロットフォトニック結晶導波路を高精度に作製することに成功し、後工程において電極からSi導電層を介してEOポリマーへのナノポーリング処理を行うことでマッハツェンダ(MZ)型EO光変調器を実際にチップ上に構築した。また外部光ファイバからナノスロット内に高効率に光を導入するためのEOポリマーバス導波路を用いたスポットサイズコンバーターを新たに開発し、挿入損失1dB以下の極めて高い結合効率を実証した。またさらに3D-FDTD計算によりスロット幅やスロット内を伝搬するスロット-スローライトモードの分散特性を適切にデザインし、構造最適化を実施することで、100GHzを超える動作帯域、1V以下の低駆動電圧、50μm以下へのダウンサイジングを同時に実現可能であることを理論計算により明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
素子作製・評価へ向けた実験技術開発、理論的アプローチによるデバイス構造の最適化デザインともに、当初の研究計画以上のペースで進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
有機非線形光学材料とシリコンとをナノ領域で融合した2次元的なヘテロ格子を創製するためのナノ微細加工技術やナノ分子配向技術について、さらなる高精度化を図り、On-Chip集積型の有機・Siハイブリッド光情報処理デバイスの動作実証や低損失化を目指すと同時に、有機・Siハイブリッドデバイス内でのスローライト効果や高Q値効果などについての高度理論解析も含めた定量的な特性評価を実施する。
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Research Products
(6 results)